オシロスコープによる電源波形観測とは?
電源波形観測とは、スイッチング電源やACアダプタ、DC-DCコンバータ、バッテリーなどの出力電圧・電流の変動をリアルタイムに波形で観測することです。
電源の安定性、リップル、立ち上がり・立ち下がり時間、突入電流、過渡応答などの評価において、オシロスコープは不可欠な測定ツールです。
■ 観測できる主な電源波形
測定対象 | 内容 |
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出力電圧の変動 | リップル(周期的なノイズ)・ドロップ・過渡応答の確認 |
立ち上がり/立ち下がり | 電源投入・遮断時の応答特性 |
突入電流 | 電源ON直後の電流ピーク(電流プローブ併用) |
スイッチング波形 | FETやIGBTのスイッチング動作波形(高周波パルス) |
ノイズ波形 | EMI要因となる高周波成分の可視化 |
短絡・過負荷時の応答 | 出力保護動作の波形評価 |
■ 測定に適したオシロスコープの仕様
項目 | 推奨内容 | 理由 |
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帯域幅 | 100MHz以上 | スイッチング周波数の高調波や立ち上がり波形の観測に必要 |
分解能 | 10〜12ビット | 微小なリップルや細かな変化を正確に測定可能 |
メモリ長 | 28Mpts以上 | 長時間の変化や応答遷移を高解像度で記録 |
サンプリングレート | 1GSa/s以上 | 急峻なパルスや立ち上がり波形を正確に再現 |
トリガ機能 | 過渡現象・立ち上がりに同期した測定に便利 |
■ 推奨プローブ構成(安全かつ正確に測るために)
種類 | 用途 | 製品例(T&M取扱) |
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高電圧差動プローブ | ACラインやFET間測定 | Micsig DP10013 / MOIPシリーズ |
電流プローブ | 突入電流・出力電流測定 | SIGLENT CP4020、OWON P04020 |
光アイソレーションプローブ | 高速・高耐圧・ノイズに強い | Micsig MOIP200P / MOIP500P など |
■ T&Mおすすめモデル(電源波形観測向け)
モデル名 | 特長 |
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Micsig STO1104C | 12ビット分解能、Wi-Fi付き。リップル測定にも好適 |
SIGLENT SDS2104X Plus | 4ch/500MHz。トリガ・解析機能が充実 |
Micsig MDO5004 | 500MHz、12ビット、500Mptsメモリ。高精細な電源評価に最適 |
OWON SDS1102 | 100MHz/2ch。入門向けにリーズナブル |
■ 活用シーン例
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スイッチング電源開発:ノイズ評価、効率改善のための波形解析
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ACアダプタ/電源ユニットの品質検査
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DC-DCコンバータの動的応答確認
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教育現場での電源波形可視化実験
まとめ
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電源回路の性能評価・トラブル解析には、高帯域・高分解能オシロスコープ+適切なプローブが不可欠
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