
コンデンサの自己共振周波数(SRF: Self-Resonant Frequency)は、コンデンサがその容量だけでなく、寄生インダクタンスと寄生抵抗を持つことによって生じる特性です。SRFは、コンデンサのインピーダンスが最小になる周波数であり、この周波数を超えるとインダクタとして振る舞い始めます。
SRFを測定する方法はいくつかありますが、一般的には以下の方法が用いられます。
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インピーダンスアナライザ(またはLCRメータ)を使用する方法
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測定器: インピーダンスアナライザ、または高周波測定が可能なLCRメータ。
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手順:
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コンデンサを測定器の端子に接続します。
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測定器を「インピーダンス」測定モードに設定します。
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周波数を低い値から徐々に上げていき、インピーダンス()の値を測定します。
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インピーダンスが最小値を示す周波数が、そのコンデンサの自己共振周波数となります。
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ネットワークアナライザを使用する方法
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測定器: ネットワークアナライザ。
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手順:
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ネットワークアナライザにテストフィクスチャ(コンデンサを接続するための治具)を接続します。
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Sパラメータ(通常はS21またはS11)を測定するように設定します。
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コンデンサをテストフィクスチャに接続します。
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ネットワークアナライザで周波数をスイープし、測定結果のグラフ(インピーダンスの周波数特性)を表示させます。
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グラフ上でインピーダンスが最小になる周波数を読み取ります。
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測定時の注意点
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測定治具: 測定治具や配線自体に寄生インダクタンスや容量が存在するため、これらの影響を最小限にする必要があります。できるだけ短い配線を使用し、専用の治具を用いることが望ましいです。
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キャリブレーション: 測定器によっては、測定前にキャリブレーション(校正)を行うことで、測定治具などの影響を除去することができます。
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メーカーのデータシート: 多くのコンデンサメーカーは、データシートにインピーダンスの周波数特性グラフを掲載しています。このグラフからもSRFを読み取ることができます。
SRFの重要性
SRFは、特に高周波回路においてコンデンサの性能を評価する上で非常に重要です。バイパスコンデンサやデカップリングコンデンサとして使用する場合、このSRFより低い周波数帯で動作させる必要があります。SRFを超えるとコンデンサはインダクタとして動作するため、ノイズを除去する機能が失われ、逆にノイズの原因となる可能性があります。