シリーズ電源とは(シリーズレギュレータ方式電源)

シリーズ電源とは、出力電圧を一定に保つために、直列接続された制御素子(トランジスタなど)を用いて調整を行う電源方式です。
主に「シリーズレギュレータ方式」とも呼ばれ、リニア電源の一種に分類されます。


シリーズ電源の仕組み

シリーズ電源では、入力電圧から制御素子(例:トランジスタ)を通じて電流を制限し、必要な電圧に調整します。
このとき余分な電圧は熱として消費されるため、発熱が多くなりやすいですが、その分ノイズが少なく安定性の高い出力が得られます。


シリーズ電源の特長

  • リップルが少ない

  • 応答が早く、安定した出力が可能

  • 負荷変動や入力変動に強い

  • 構造がシンプルで故障しにくい


シリーズ電源とスイッチング電源の比較

比較項目 シリーズ電源 スイッチング電源
ノイズ 非常に少ない ノイズが出やすい
電力効率 低め(発熱多い) 高効率
サイズ・重量 大きく重い 小型・軽量
コスト やや高め 量産性があり安価
応答性 高速 製品による

シリーズ電源はノイズ感度が高い回路や測定用途、アナログ・音響系の設計評価などで重宝されています。


シリーズ電源の用途例

  • 高精度な電子回路のテスト

  • アナログ回路やセンサ駆動

  • 医療機器の開発や動作確認

  • 音響機器(アンプ等)の評価

  • 教育機関での実験用安定化電源


関連語との違い

用語 意味
リニア電源 スイッチング方式ではないアナログ制御の電源
シリーズ電源 リニア電源の一種で、直列制御素子を用いる方式
スイッチング電源 高速スイッチング素子で出力を制御する方式
プログラマブル電源 電圧や電流をデジタル制御できる電源

代表的なシリーズ電源製品(例)

  • TECHMIZE THシリーズ:高精度な出力と安定したリニア制御を備えた開発向け電源

  • SIGLENT SPD3303X:3出力対応、シリーズ/パラレルモード切替可、リニア構造を採用

  • OWON P4603シリーズ:安価でコンパクトなベンチ型シリーズ電源


まとめ

**シリーズ電源(シリーズレギュレータ方式)**は、安定性・ノイズの少なさを重視する現場で今も広く使われています。
スイッチング方式にはない静粛性と高精度出力は、アナログ回路や精密測定の分野での信頼性を支えています。