スイープ測定(Sweep Measurement)とは

~連続的に変化する信号パラメータに対する応答を測定する手法~


■ 定義

スイープ測定(Sweep Measurement)とは、周波数・電圧・電流・時間などの入力条件を一定の範囲で連続的または段階的に変化させながら、被測定物の応答(出力や特性変化)を測定する手法の総称です。

「スイープ」とは「掃く・なぞる」という意味で、測定条件を段階的に“なぞる”ことで、部品や回路の特性を可視化・定量化する目的で用いられます。


■ 主なスイープの種類

種類 説明
✅ 周波数スイープ 発振器の出力周波数を一定範囲で変化させ、周波数特性(例:S21、
✅ 電圧スイープ バイアス電圧を変化させて、電圧依存特性(例:C-V、I-V特性)を取得
✅ 電流スイープ ソース電流を段階的に変えて、抵抗特性や電流応答を測定
✅ 時間スイープ 一定時間間隔で信号や波形の経時変化を観測する方法(例:トランジェント測定)
✅ パワースイープ 高周波信号の出力レベルをスイープし、非線形挙動(例:ゲイン圧縮)を評価

■ 測定器における代表的なスイープ機能

測定器 スイープ内容 目的
✅ ネットワークアナライザ(VNA) 周波数スイープ Sパラメータの周波数依存評価(整合性・共振点など)
✅ LCRメーター、インピーダンスアナライザ 周波数スイープ/電圧スイープ コンデンサ、インダクタ、材料の特性評価
✅ ソースメジャーユニット(SMU) 電圧スイープ、電流スイープ I-V、C-V特性、リーク電流評価
✅ 信号発生器 パワースイープ 増幅器やミキサーの利得/線形性解析

■ 用途と応用例

アプリケーション 測定例
✅ フィルタ評価 通過帯域、遮断帯域、挿入損失の評価(周波数スイープ)
✅ ダイオード・トランジスタ特性 順方向・逆方向のI-Vカーブ(電圧スイープ)
✅ MOS構造の解析 C-Vスイープでしきい値電圧・酸化膜容量を算出
✅ 材料測定 誘電率や透磁率の周波数依存性評価
✅ 非線形デバイス ゲイン圧縮ポイント(P1dB)評価(パワースイープ)

■ 測定上の注意点

  • ✅ スイープ速度と精度のトレードオフ(速いほどノイズに弱くなる)

  • ✅ 被測定物に対する熱や損傷のリスク(特にパワースイープ時)

  • ✅ 適切なステップサイズとスイープ範囲の設定が解析の精度に直結

  • ✅ キャリブレーション後のリニアリティ確認が必要な場合も多い


■ まとめ

項目 内容
スイープ測定とは? 入力パラメータを一定範囲で連続変化させながら特性を測定する手法
主な種類 周波数、電圧、電流、パワー、時間スイープ
用途 フィルタ、C-V測定、I-V測定、材料特性評価、非線形性解析
関連機器 VNA、LCRメーター、SMU、信号発生器、オシロスコープなど

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