スペクトラムアナライザとは(スペアナ)

スペクトラムアナライザ(略してスペアナ)は、電気信号の周波数成分を解析するための計測器です。時間軸で波形を表示するオシロスコープとは異なり、スペアナは横軸に「周波数」、縦軸に「振幅(dBmやdBμV)」を表示します。

スペクトラムアナライザを使うことで、以下のような用途に対応できます。

  • RF信号の周波数分析(通信機器・無線機器の評価)

  • ノイズの測定や不要輻射の確認

  • 電波強度の可視化

  • マルチキャリア信号の観測やスプリアス測定

近年はデジタルスペクトラムアナライザが主流で、アナログ方式と比較して高い解析精度と多機能性を備えています。また、ベクトル信号解析機能を搭載したモデルも増え、変調解析などにも対応可能です。


スペアナとオシロスコープの違い

オシロスコープは「時間軸での波形観測」に優れ、信号の立ち上がりやノイズ波形、トリガーによる詳細解析に強みがあります。一方、スペアナは「周波数ドメインでの観測」に特化しており、特定周波数の成分や干渉信号を識別するのに適しています。

多くの測定現場では、オシロスコープとスペアナを併用することで、時間・周波数の両面から信号の詳細な解析を行います。


スペクトラムアナライザの選び方

スペクトラムアナライザを選定する際は、以下のポイントを考慮する必要があります。

  • 測定周波数範囲(例:9kHz~3GHz)

  • 分解能帯域幅(RBW)

  • 表示平均ノイズレベル(DANL)

  • トラッキングジェネレータの有無

  • USB・LANなどの通信インターフェース

用途により、ポータブル型PC接続型も選ばれています。教育現場や研究機関では、入門用の小型スペアナ高機能なベクトルネットワークアナライザとの統合モデルが人気です。


スペクトラムアナライザの使い方

基本的な使い方としては、以下のステップで信号の解析を行います。

  1. 測定対象の信号源とスペアナを接続

  2. 中心周波数とスパンを設定

  3. 振幅レンジやスイープ時間を調整

  4. ノイズフロアの確認と必要に応じてRBW調整

  5. スプリアスやハーモニクスの解析を実施

測定環境によっては、アッテネータプリアンプの利用も重要です。


スペクトラムアナライザの活用シーン

  • 無線通信機器の評価(Bluetooth、Wi-Fi、LTE等)

  • EMC・EMI試験の事前評価

  • 放送・音響機器の電波監視

  • IoT製品のRF性能テスト

  • 教育現場での高周波実習

スペアナは幅広い分野で活躍しており、計測器を紹介するサイトや技術ブログでも、初心者から上級者まで幅広い情報が発信されています。