ソースメジャーユニット(SMU)入門者向け選定ガイド
1. SMUとは?
ソースメジャーユニット(SMU)は、電圧または電流を出力しつつ、その電圧・電流を同時に測定できる精密な計測機器です。1台でソース機能とメーター機能を兼ね備え、主に以下のような用途に使用されます。
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半導体デバイスのI-V特性評価
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センサーデバイスの動作確認
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バッテリーや太陽電池の充放電評価
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LEDやレーザーダイオードの特性試験
2. 選定時の基本チェックポイント
✅ 目的に合った「電圧・電流レンジ」
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低電流測定(pA~nA):フォトダイオードやリーク測定など → 高分解能必須
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中電流~高電流(mA~A):パワーデバイスやバッテリー評価など
✅ 測定分解能・確度
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微小な変化を測定するにはμV/μAレベルの分解能が必要
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24-bit ADC搭載の高精度SMUが理想的(例:Techmize TH199X)
✅ 4象限動作対応の有無
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電源としての出力(ソース)と負荷としての吸収(シンク)の両方が必要な場合、4象限動作対応モデルを選ぶ
✅ スイープ・ロギング機能
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自動スイープ機能:I-V特性の測定に便利
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ロギング機能:長時間の挙動観察に便利
✅ 制御インターフェース
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USB/LAN/GPIBなど、社内設備や自動測定システムとの連携を考慮
3. 用途別おすすめモデル(参考)
用途 | 必要条件 | おすすめモデル例 |
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微小電流の測定(センサー、MEMS) | 高分解能(pA対応)、低ノイズ | Keithley 2450/6517B、TH199X |
パワーデバイスの評価 | 高電圧・高電流、4象限動作 | R&S NGU401、Techmize TH510 |
教育・研究用途 | コストパフォーマンス、簡単操作 | Techmize TH199X、SMU-Lite機種 |
自動評価システム組み込み | SCPI対応、複数チャネル対応 | Keithley 2602B、Techmizeシリーズ(複数ch) |
4. 初心者におすすめの選び方ステップ
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測定対象を明確にする(電流?電圧?どのくらいの精度が必要?)
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4象限動作の要否を判断
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測定スピードと精度のバランスを確認
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操作性や接続性(USBなど)を確認
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将来的な拡張(多ch対応、プログラム制御)も考慮
5. よくある失敗と注意点
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⚠ 電流レンジ不足による測定不能
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⚠ 測定ノイズが高くて解析困難
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⚠ 制御ソフト非対応で自動化できない
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⚠ 2象限動作のみで放電測定ができない
6. まとめ
SMUは高価な計測器ですが、一台で「電源+メーター」の両機能を担える高機能機器です。選定の際は、「測定レンジ」「精度」「用途適合性」の3点を意識すると失敗が少なくなります。初心者の方は、まずは汎用性の高い中級モデルからスタートするのがおすすめです。