応答波形解析(Waveform Analysis)とは

~信号の形状から電子デバイスや部品の特性・異常を読み解く手法~


■ 定義

応答波形解析(Waveform Analysis)とは、被測定デバイスに対して入力信号(パルス、インパルス、正弦波など)を与えた際に得られる出力波形を解析し、物理的・電気的な状態や異常を判断する技術です。
オシロスコープ、インパルス巻線試験機、ネットワークアナライザ、LCRメーターなどの計測器で取得された電圧・電流・位相・振幅などの時間波形を可視化し、数値解析・比較・判定を行います。


■ 解析で得られる情報

測定対象 抽出可能な情報
✅ トランス・モーター 巻線短絡、層間絶縁不良、断線などの異常検出
✅ MOSFET・IGBT スイッチング特性、ゲートチャージ、立上り/立下り時間
✅ コンデンサ・インダクタ 共振周波数、損失、応答遅延
✅ RF回路 反射波(S11)、伝送波(S21)、歪みやリップル

■ 解析項目の例

解析項目 説明
✅ 立ち上がり時間(Rise Time) 波形が10%→90%に達する時間
✅ 減衰(Damping) 振幅の自然減衰から共振特性や損失を判別
✅ 共振周波数(Resonant Frequency) LC構成部の自然振動周波数
✅ 波形の一致率(Matching Coefficient) 良品波形との比較による異常検知(例:インパルス試験)
✅ オーバーシュート/リンギング 回路の過渡応答・過剰振動の検出

■ 使用される主な機器

計測器 用途
✅ オシロスコープ 時間軸上での信号観測とイベント抽出
✅ インパルス巻線試験機 応答波形による巻線部品の非破壊検査
✅ VNA/ネットワークアナライザ Sパラ波形の周波数解析とスミスチャート表示
✅ パルスジェネレータ+電流プローブ スイッチング波形の詳細解析

■ 解析の活用例

分野 活用内容
✅ 製品検査・スクリーニング リファレンス波形と比較してNG品を自動判別
✅ 設計・開発評価 回路応答のシミュレーション結果との比較評価
✅ 故障解析(FA) 通常波形との差異から故障箇所を特定
✅ 品質管理 長期トレンドの波形変化による劣化監視

■ 自動波形解析ソフトの活用

近年では、以下のような自動波形比較ソフト・AI判定アルゴリズムが主流です:

  • しきい値比較(トレランス判定)

  • 相関係数法(コリレーションマッチング)

  • 機械学習による正常/異常分類

  • FFT解析・周波数領域判定


■ まとめ

項目 内容
定義 デバイスの応答波形を基に電気的特性や異常を可視化・定量化する手法
主な解析項目 立ち上がり時間、共振、減衰、マッチング係数など
使用機器 オシロスコープ、インパルス試験器、VNAなど
応用範囲 巻線検査、スイッチング評価、品質管理、信頼性解析
T&M対応 波形自動比較機能付きインパルス試験機や高分解能オシロをご提案可能

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