 
										**SST (Solid State Transformer: 半導体変圧器)**は、従来の商用周波数で動作する鉄心を用いた巨大な変圧器(トランス)を、パワー半導体、高周波トランス、および制御回路を組み合わせた回路で置き換える次世代の電力変換装置です。
従来の変圧器が持つ「電圧変換」機能に加え、パワーエレクトロニクス技術によって**「能動的な電力制御」の機能も持ち、「スマートトランス」**とも呼ばれます。
SSTの仕組みと構成
SSTは、主に以下の3つのステージで構成されます。この回路の中心には、高周波変圧器が使用されています。
- 
AC-DCコンバータ(系統側): - 
系統(送電網)の交流(AC)を高電圧の直流(DC)に変換します。 
- 
双方向性を持たせることで、系統への逆潮流(回生電力など)も可能です。 
 
- 
- 
高周波絶縁型DC-DCコンバータ(中間段): - 
中間直流電圧を、高周波(数十 kHz ~ MHz 帯)でスイッチングします。この高周波の電力変換に小型の高周波トランスを使用することで、絶縁を保ちつつ電圧レベルを大きく変換します。 
 
- 
- 
DC-ACコンバータ(負荷側): - 
変換された直流電力を、負荷(家庭、工場、バッテリーなど)に適した交流(AC)または直流(DC)に変換して供給します。 
 
- 
SSTの主要な特長とメリット 💡
SSTが次世代の電力システムにおいて注目されるのは、従来の変圧器では不可能だった多様な機能と、その優れた特性によるものです。
1. 小型化・軽量化
- 
高周波化: SSTは電力変換に高周波を用いるため、従来の商用周波数(50Hz / 60Hz)で動作するトランスと比較して、高周波トランスは大幅に小型化・軽量化できます。これにより、設置場所の制約が緩くなります。 
2. 高効率化と多機能制御
- 
双方向電力変換: 電力の流れを系統から負荷、または負荷から系統へと双方向に柔軟に制御できます。これは、再生可能エネルギーやEVの蓄電池など、逆潮流が発生するシステムとの連携に不可欠です。 
- 
電圧・潮流の能動制御: 半導体による制御によって、系統電圧の変動や高調波(ノイズ)の発生を抑制し、電力品質を改善できます。 
- 
AC/DC混在システムへの対応: 交流と直流の変換が自在なため、直流送電網(HVDC)への連系や、直流で動作するデータセンター、EV充電設備などとの接続が容易になります。 
3. システムの信頼性向上
- 
故障時の冗長性: 回路を複数のセルに分割するマルチレベルコンバータ構成を採用することで、一部が故障しても残りのセルで運転を継続できる冗長性を持たせやすいです。 
実用化に向けた課題
SSTは多くのメリットを持つ一方、実用化・普及にはまだ課題が残されています。
- 
コスト: パワー半導体(特にSiCやGaNなどのWBG半導体)や複雑な制御回路を使用するため、現在のところ製造コストが従来の変圧器よりも高いです。 
- 
信頼性と耐久性: 複雑な電子回路や多数の半導体で構成されるため、長期間にわたる高電圧・高負荷環境下での信頼性や耐久性の評価・確保が重要です。 
- 
熱管理: 高周波スイッチングに伴う電力損失を低減しているものの、高電力密度化に伴う発熱に対する効果的な熱管理技術が求められます。 
この動画は、通常のパッシブプローブと光アイソレーション差動プローブの違いを比較し、正確に観測するために光アイソレーション差動プローブが必要であることを示しています。
| MICSIG 光アイソレーション差動プローブ MOIPシリーズ https://tm-co.co.jp/products/micsig-moip/ ・ 帯域幅: DC~100MHz/・・・/1GHz(6モデル) ・ 差動電圧: ~6250V ・ 同相電圧: 85kVpk | |
※MOIPプローブはBNCコネクタ接続により、お持ちのオシロスコープで使用可能です。




