絶縁抵抗計とは
~高電圧を印加して絶縁の良し悪しを定量的に評価する測定器~
■ 定義
絶縁抵抗計(Insulation Resistance Tester / IR Tester)とは、2点間に高電圧(DC)を印加し、流れる微小電流から絶縁抵抗値を算出する測定器です。
「メガー(Megohmmeter)」という別名でも呼ばれ、MΩ(メグオーム)~GΩ(ギガオーム)レベルの高抵抗を測定する用途に特化しています。
■ 測定原理
印加電圧 VV に対して、流れる電流 II を測定し、オームの法則で絶縁抵抗 RR を計算します:
R=VIR = \frac{V}{I}
例:500 V 印加、リーク電流 1 µA → 絶縁抵抗 = 500 MΩ
■ 主な測定対象
対象 | 内容 |
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✅ ハーネス・ケーブル | 導体間の絶縁性チェック(断線・短絡予防) |
✅ 基板(PCB) | パターン間・層間絶縁の劣化診断 |
✅ コイル・トランス・モータ | 巻線とコア間の絶縁確認 |
✅ コンデンサ・電池モジュール | 絶縁フィルムや保護回路の健全性確認 |
✅ 電気機器筐体・フレーム | アースとの絶縁状態を確認(漏電対策) |
■ 主な印加電圧レンジ(機種により異なる)
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DC 100 V
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DC 250 V
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DC 500 V(一般的)
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DC 1000 V(高耐圧品・規格試験向け)
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DC 2500 V / 5000 V(産業用・重電機器向け)
■ 特長と利点
特長 | 説明 |
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🔍 高抵抗(MΩ~GΩ)の正確な測定 | 微小なリーク電流も安定して測定可能 |
⚡ 高電圧印加に対応 | 一般のテスターでは扱えない評価が可能 |
🧪 絶縁劣化の早期発見 | 低下した絶縁性能を定量的に検出 |
📊 データ保存・ログ機能 | 品質記録・出荷前検査にも対応 |
⚙️ 多チャンネル対応可能(自動化) | 製造ラインへの組込みも可 |
■ 測定結果の基準例(参考)
測定対象 | 印加電圧 | 良品の絶縁抵抗基準 |
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電線・ハーネス | 500 V | ≧ 100 MΩ |
PCBパターン間 | 500 V | ≧ 1000 MΩ |
モータ巻線と筐体間 | 1000 V | ≧ 1 GΩ |
コンデンサ端子間 | 100 V | ≧ 10 GΩ |
※基準値は部品の仕様・安全規格により異なります
■ T&Mでの対応
T&Mコーポレーションでは、以下のような用途に対応する絶縁抵抗計をご提案可能です:
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✅ 単体式デジタル絶縁抵抗計(ハンディ型)
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✅ 多チャネル絶縁試験システム(自動検査対応)
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✅ Hi-Pot試験器との統合タイプ(AC/DC耐圧+IR測定一体)
お客様の測定対象、必要電圧、導入形態に応じた機種選定・カスタム対応も承っております。