電源の選び方
電源(Power Supply)は、電子回路や機器に電力を供給するための基本的かつ重要な測定機器です。正しい電源を選定することで、測定精度の向上、安全性の確保、作業効率の改善につながります。ここでは、電源を選ぶ際の主なポイントをわかりやすく解説します。
1. 必要な電圧・電流範囲を確認
まず、被測定回路が必要とする最大電圧・電流を把握します。
項目 | 説明 |
---|---|
出力電圧(V) | 使用予定の回路や部品が必要とする範囲をカバーしているか。例:0~30V、0~60Vなど。 |
出力電流(A) | 起動時(突入電流含む)に十分な余裕があるか。例:5A、10Aなど。 |
出力電力(W) | 電圧×電流の積が出力電力。これを超える使用はできません。 |
例:5V/2Aで動作する回路 → 10W以上の電源が必要。
2. チャンネル数(出力系統)を選ぶ
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1ch電源:基本用途。単一の電圧系統があれば十分な場合。
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2ch/3ch以上:アナログ・デジタル回路を別電源で供給したい場合や、±電源が必要なオペアンプ回路に便利。
3. CV/CCモードの対応を確認
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CV(定電圧)モード:設定した電圧を一定に保ち、負荷に応じて電流を調整。多くの一般用途に対応。
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CC(定電流)モード:電流を制限して流すモード。LED、バッテリ、モーター試験などに活用。
4. 電源方式で選ぶ(リニア or スイッチング)
種類 | 特徴 | 適した用途 |
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リニア電源 | ノイズが少なく高精度。重く発熱が大きい。 | センサ回路、アナログ測定など |
スイッチング電源 | 軽量・高効率。多少のノイズあり。 | 開発一般用途、電源試験全般 |
5. 操作性・制御機能を確認
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デジタル表示/タッチ操作:視認性や直感的な設定がしやすい
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ロック機能:誤操作防止に有効
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タイマー/ステップ設定:電圧や電流を時間的に制御したい用途に便利
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インターフェース:USB、LAN、RS-232などでPC制御やリモート操作が可能か
6. その他の重要チェックポイント
項目 | 内容 |
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リップル・ノイズ性能 | 高精度測定では、出力の安定性が重要 |
保護機能(OVP/OCP) | 過電圧・過電流による回路の損傷を防止 |
安全規格・校正対応 | 教育機関や品質保証の現場では特に重要 |
7. 用途別のおすすめ傾向(参考)
用途 | 推奨される仕様 |
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教育・初学者向け | 操作が簡単な1chモデル、低価格帯 |
電源設計・評価 | CV/CC切替対応、複数ch、低リップル |
自動試験・開発ライン | プログラマブル、PC制御対応 |
センサやアナログ回路 | リニア電源、ノイズの少ない出力 |
まとめ
電源を選ぶ際は、使用する電子回路の電圧・電流・精度・用途に合った仕様を把握し、必要な機能を備えたモデルを選ぶことが重要です。
「高機能=最適」ではなく、シンプルで必要十分なものを選ぶ方がコスト面・操作性でもメリットが大きい場合もあります。