シリアル通信測定」におけるオシロスコープの使い方を、初心者の方にもわかりやすいようにまとめました。
マイコン・センサー・機器間の通信トラブルを解析したい場合に非常に有効です。


🔧 シリアル通信測定とは?

シリアル通信とは、1本または少数の信号線で、データを1ビットずつ送受信する通信方式です。
代表的な通信方式:

  • UART(RS-232など)

  • I²C

  • SPI

  • CAN / LIN / SENT(車載系)


📏 測定の目的

  • 正しく通信できているか確認したい

  • データ内容(アドレス、値など)を見たい

  • 通信エラー(ノイズ、タイミング異常)がないか確認したい


🧭 オシロスコープを使った測定手順

① プローブを接続

  • UART:TX(送信) or RX(受信)信号線へ

  • I²C:SCL(クロック)、SDA(データ)両方を別チャンネルに接続

  • SPI:SCLK, MOSI, MISO, SSを必要に応じて接続

👉 プローブGNDは必ず相手回路のGNDと共通にする


② 基本波形を見る

  • Time/div:通信速度に応じて設定(例:9600bps → 100μs/div程度)

  • Volt/div:信号レベルに応じて設定(5V系/3.3V系)

  • Trigger:立ち上がり・下降など、通信の先頭をトリガに


③ デコード機能を使う(対応機種)

✔️ SIGLENT・Micsigなどの対応機種では…

  • 波形を自動でデジタル値に変換し、上に文字(HEX/ASCII)で表示

  • 通信内容をテーブル形式でも確認できる

  • エラーフレームも検出可能

🛠 例:

  • SIGLENT SDS1104X-E:UART/I2C/SPI デコード対応

  • SIGLENT SDS2000X Plus/HD:CAN/LIN/SENTにも対応

  • Micsig STO/MDOシリーズ:UART/I2C/SPIの自動デコード対応


🧪 通信ごとのポイント

通信方式 特徴 測定ポイント
UART 1線双方向(TX/RX) ボーレート設定に注意(例:9600bps)
I²C 2線式(SCL/SDA) スタート・ストップ信号を観察
SPI 高速クロック SCLK・MOSI・MISO・CS の関係を見る
CAN 差動信号(CAN-H/CAN-L) 終端抵抗・エラー確認
LIN 車載低速通信 電圧の立ち上がりに注意

🧠 便利な機能

機能 用途
トリガ条件:シリアルパターン 特定の値(例:0x55)をトリガにできる
デコード表示:HEX / ASCII 切替 通信プロトコルに応じて見やすい表示に変更可能
ストレージ機能 通信ログを保存して後から解析可能

🎯 まとめ

シリアル通信測定は、「信号が出ているか」だけでなく「何を送っているか」まで見られるのが大きな強みです。
デコード機能付きのオシロスコープを使えば、複雑なバス通信の可視化とエラー解析が一気に効率化されます。