オシロスコープのメモリ長とは?
メモリ長(Memory Depth)とは、オシロスコープが波形データを一度に保存・処理できる容量(データ点数)を指します。
単位は通常「pts(ポイント)」で表され、たとえば「70Mpts」は7000万点分の波形データを記録できることを意味します。
■ メモリ長が長いと何ができる?
メリット | 説明 |
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長時間の波形記録 | 一度のトリガで、より長い波形全体を記録可能。後から細部まで確認できる。 |
高解像度のままズーム | 時間軸を拡大しても細かい波形が残っているため、波形の変化を忠実に確認可能。 |
ノイズや一瞬の異常も検出しやすい | 異常波形の発生箇所を見逃さず、エラー解析がしやすくなる。 |
■ メモリ長の違いによる波形表示の例(イメージ)
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短いメモリ(例:1Mpts):表示できる時間が短く、ズームすると点が荒くなる
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長いメモリ(例:70Mpts~500Mpts):数秒〜数十秒の波形を連続記録し、高精細に拡大できる
■ どれくらいのメモリ長が必要?
用途 | 推奨メモリ長 |
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教育・基本波形観測 | 1Mpts〜10Mpts |
デバッグ・開発(MCU、通信) | 28Mpts〜70Mpts |
長時間記録やスイッチング電源解析 | 140Mpts〜500Mpts以上 |
※ サンプリングレートが高いほど、多くのメモリが必要になります。
■ T&M取扱製品のメモリ長比較
製品名 | メモリ長 | 特長 |
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Micsig TO1104 | 28Mpts | 教育向け。画面一体型タブレットタイプ |
SIGLENT SDS1104X-E | 14Mpts | コスパ重視モデル。2ch使用時は各7Mpts |
Micsig STO1104C | 70Mpts | 12ビット分解能。開発現場に好適 |
SIGLENT SDS2104X Plus | 最大 200Mpts | 高速通信やイベント解析に最適 |
Micsig MDO5004 | 最大 500Mpts | 長時間・高解像度記録対応のハイエンド機 |
■ 注意点:大きいメモリ=常に良いとは限らない?
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メモリが長いほど処理負荷が増えるため、波形更新速度が低下することも
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多くの製品では、メモリ長と波形更新速度のバランス調整が可能
まとめ
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メモリ長が長いほど、波形を高精細かつ長時間にわたって記録できる
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実際の用途(記録時間・サンプリング精度)に応じて適切な容量を選ぶことが重要
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T&Mでは、28Mptsから500Mptsまでの幅広いラインアップをご用意しています