オシロスコープの周波数帯域とは?
オシロスコープの周波数帯域(Bandwidth)とは、その機器が正確に測定できる信号の最大周波数を示す指標です。
たとえば「100MHz帯域」のオシロスコープは、最大100MHzの信号まで忠実に観測できるという意味です。
周波数帯域は、オシロスコープを選ぶ上で最も重要な基本性能の一つです。
■ なぜ周波数帯域が重要?
高い周波数成分を含む信号(急峻な立ち上がりや高速クロックなど)を測定するには、
それに十分対応できる帯域幅が必要です。帯域が不足すると、信号がなまって表示されたり、重要な情報が失われたりします。
■ 帯域の目安:何MHzを選べばいい?
基本の目安は:
測定対象信号の最大周波数 × 5倍程度
測定対象 | 推奨帯域 |
---|---|
電源波形・低周波信号 | 20〜100MHz |
デジタル信号(マイコン、UART、PWM) | 100〜200MHz |
クロック・シリアル通信(SPI、I²C) | 200〜350MHz |
CAN/LIN、USB、Ethernetなど高速通信 | 350MHz〜1GHz以上 |
RFや高周波回路 | 1GHz以上(専用機種推奨) |
■ 周波数帯域と波形の忠実度
帯域が狭いと、以下のような現象が起こります:
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パルス信号の角が丸まる(立ち上がり時間が遅く見える)
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オーバーシュートやリンギングの検出が困難
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実際より波形が穏やかに見える(過小評価)
高帯域モデルでは、こうした微細な変化も正確に捉えられます。
■ T&M取扱製品別の帯域ラインアップ例
モデル | 帯域幅 | 用途 |
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Micsig TO1104 | 100MHz | 教育・入門向け |
SIGLENT SDS2000X Plus | 100MHz〜500MHz | 開発・波形解析 |
SIGLENT SDS3000X HD | 350MHz〜1GHz | 高精度・12ビットADC搭載 |
OWON SDS1102 | 100MHz | コスパ重視・基本用途 |
Micsig MDO5004 | 500MHz | パワエレ・高精細測定 |
■ まとめ
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周波数帯域は波形再現性と解析精度に大きく影響
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信号周波数の5倍程度を目安に帯域を選ぶ
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将来的な応用を考慮し、少し余裕のある帯域を選ぶと安心
T&Mコーポレーションでは、50MHzから1GHz帯まで幅広い帯域のオシロスコープを正規に取扱いしています。
製品選定やデモ機試用についてもお気軽にご相談ください。