オシロスコープ GaN測定対応とは?

 

GaN(窒化ガリウム)は、近年注目されている高効率・高速スイッチングが可能な次世代パワーデバイスです。
その高速スイッチング特性を正しく測定・評価するには、一般的なオシロスコープやプローブでは対応が難しく、専用仕様が求められます。


■ GaN測定で必要とされる測定性能

項目 推奨仕様 理由
帯域幅 200MHz~500MHz以上 GaNの立ち上がり時間は数ns以下。高速エッジを忠実に再現するには高帯域が必須
分解能 12ビット以上推奨 高速でも微細な電圧変化を正確に表示するため
高耐圧差動プローブ ±1000V以上、CMRRが高いもの ハイサイドスイッチング波形や大電圧差測定に対応
光アイソレーション対応 高速かつ高耐圧+高CMRR ノイズ除去、信号忠実度の確保に有効

■ よくある測定項目(GaNパワーデバイス)

  • VDS電圧波形(ドレイン-ソース間)

  • ID電流波形(シャント抵抗または電流プローブ)

  • VGS(ゲート信号)

  • スイッチング損失解析(Eon / Eoff)

  • コモンモードノイズ(CMノイズ)測定


■ GaN測定に対応した構成例(T&M取扱)

✅ オシロスコープ(12ビット/高帯域)

製品名 メーカー 特長
Micsig STO1104C Micsig 100MHz/4ch、12ビット、光プローブ接続対応
Micsig MDO5004 Micsig 500MHz、最大500Mptsメモリ。高分解能×長時間記録
SIGLENT SDS3000X HD SIGLENT 350MHz~1GHz、12ビットADC。開発・評価用ハイエンドモデル

✅ 差動プローブ(光アイソレーション)

プローブ名 帯域幅 最大差動電圧 備考
Micsig MOIP200P 200MHz ±2500V 光絶縁型、CMRR>100dB、±30kV耐圧バリア
Micsig MOIP500P 500MHz ±1500V GaN/SiC評価向けに最適。USB給電対応

■ 光アイソレーションプローブが重要な理由

  • 通常の差動プローブでは、高速・高電圧・高ノイズ環境で測定誤差が出やすい

  • 光アイソレーション構造により、電気的に絶縁された測定環境を実現

  • 高速のGaNスイッチングにおいても、信号の歪み・誤差が少なく、高信頼な測定が可能


■ 実際の導入例・応用シーン

  • 車載充電器/DC-DCコンバータ開発

  • EV/HEVパワーモジュール評価

  • GaNトランジスタスイッチングテスト

  • 高電圧インバータ制御回路の実波形解析


まとめ

  • GaNデバイスの測定には、通常より高性能なオシロスコープと専用プローブが必要

  • 帯域幅、分解能、アイソレーション性能のバランスがとれた構成が不可欠

  • T&Mコーポレーションでは、GaN/SiC評価に最適な機器と構成例をご提案可能です

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第3回 そもそも電力変換って何?4つの方式を知るだけで全ての電力変換がわかる    • ③そもそも電力変換って何?4つの方式を知るだけで全ての電力変換がわかる-次世代パワー...  
第4回 電力変換効率とその計算法と省エネが求められる諸般の事情+蛍や人間の生態系エネルギー効率は?
第5回 Web回路シミュレーターの活用(ボタンを選択するだけ!パワエレの回路動作がビジュアルで理解できる便利な無料ツール!)
第6回 Si-IGBTの新構造が続々登場!進化はまだまだ止まらない
第7回 SiC, GaN, 酸化ガリウムGa2O3, ダイヤモンド半導体を全部解説
第8回 パワーデバイスの最新応用例(特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) a)PFC回路 b)サーバー、通信
第9回 パワーデバイスの最新応用例(特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) c)太陽光発電 e)蓄電システム
第10回 パワーデバイスの最新応用例(特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) e)UPS f) インダクション・ヒーター
第11回 パワーデバイスの最新応用例(特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) g) 急速充電 h) ワイヤレス給電
第12回(シリーズ最終回) SiCパワー半導体の電気自動車EVへの使用例(走行用インバータ、オンボード充電器を一気に解説)
 
【本パワエレ基礎コースの目次】
1.パワーエレクトロニクスの基本の基本編 a)パワー半導体デバイスの種類 次世代パワー半導体の理解を目的に分類し特長を解説 (整流ダイオード、バイポーラトランジスタ、MOSFET、IGBT、GTO) b)そもそも電力変換って、何のために、何をしてるの? 4方式(DCDC、DCAC、ACDC、ACAC)の例を挙げて理解
2.損失の考え方と電力変換の高効率化 a)電力変換とは?その測定例 b)高効率が求められる背景 c)MOSFET損失の簡単な計算例 d)Web回路シミュレーターの活用
3.次世代パワーデバイスの種類と概説 a)Si-IGBTの新構造が続々登場 b)シリコンカーバイド c)窒化ガリウム d)酸化ガリウム e)ダイヤモンド
4.パワーデバイスの最新応用例 (特にSiCなど次世代パワーデバイスを中心に解説) a)PFC回路 b)サーバー、通信 c)太陽光発電 d) 蓄電システム e) UPS f)インダクション・ヒーター g)急速充電 h) ワイヤレス給電 i) 電気自動車への利用(オンボード充電器、トラクションモーター)
5. その他(本シリーズ外で動画公開中+順次新規公開) a)パワーデバイスの市場動向(2,3カ月毎) b)パワーMOSFETの高性能を引き出す設計例 c)新興アプリケーション紹介
 
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出典:SiCパワー半導体推進部