オシロスコープでの波形観測方法とは?
オシロスコープは、電気信号の電圧の時間的変化(波形)を視覚的に表示する測定器です。
電子回路の信号確認や不具合解析に欠かせない基本ツールの一つで、正しく使えば信号の周波数・振幅・ノイズ・タイミングなど多くの情報を得ることができます。
基本的な測定ステップ
✅ 1. 電源を入れる
オシロスコープと被測定回路の電源を入れます。起動後、測定チャンネルが初期化されていることを確認します。
✅ 2. プローブを接続する
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使用するチャンネル(CH1など)にプローブを接続
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プローブの先端を信号線に、グラウンドをGNDに接続
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接触不良やノイズを避けるため、接続は慎重に
※ 初心者は×10(10:1)アッテネーション設定のプローブが標準的
✅ 3. 垂直軸(電圧スケール)の調整
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「VOLTS/DIV」で、画面1目盛あたりの電圧を設定
例:2V/div → 画面上で1目盛あたり2V -
波形が見やすくなるよう、スケールを調整します
✅ 4. 水平軸(時間軸)の調整
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「TIME/DIV」で、1目盛あたりの時間幅を設定
例:1ms/div → 画面上で1目盛が1ミリ秒 -
周期がある信号なら1~2周期程度が見える設定が目安
✅ 5. トリガの設定
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波形を安定表示させるための**トリガポイント(信号の捕まえ方)**を設定
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一般的には「立ち上がりエッジ」「CH1」「Auto」などが初期設定に適しています
トリガを適切に設定しないと、波形が横に流れたり、安定しません。
✅ 6. 波形を観測・測定する
波形が安定して表示されたら、電圧・周期・パルス幅・ノイズなど必要な項目を読み取ります。
多くのオシロスコープにはカーソル測定や自動測定機能が搭載されています。
よく使う測定対象と観測ポイント
測定対象 | チェックポイント例 |
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クロック信号 | 周波数、Duty比、ジッタ |
パルス信号 | パルス幅、立ち上がり/立ち下がり時間 |
アナログ波形 | 振幅、歪み、オフセット、ノイズ成分など |
電源波形 | リップル、突入電流、過渡応答など |
注意すべきポイント
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プローブの減衰比設定(1:1 or 10:1)と本体側設定を一致させること
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グラウンドの取り方が不適切だとノイズや誤測定の原因に
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高速信号には十分な帯域幅とサンプリング速度が必要
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オシロスコープのオート設定に頼りすぎない(特に複雑な信号)
まとめ
オシロスコープによる波形観測は、正確な接続、適切なスケール設定、トリガ調整の3点が重要です。
初心者でも基本手順を押さえれば、信号の状態を「見て」「測って」「判断する」力を身につけることができます。