オシロスコープで電流を測定するには?
オシロスコープは本来、電圧波形を観測する装置ですが、電流測定にも対応可能です。
ただし、電圧と異なり、直接プローブを当てるだけでは電流を測定できないため、測定には電流プローブやシャント抵抗などの補助手段が必要です。
電流測定の主な方法
✅ 1. 電流プローブを使う方法(クランプ式)
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概要:電流プローブ(クランプ)を導体に挟むことで、電流の磁界から波形を測定
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特長:非接触・安全、高周波の電流も観測可能
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用途例:モーター、インバータ、スイッチング電源、EMI測定など
注意:プローブの帯域や精度に注意し、使用前にゼロ調整が必要です。
✅ 2. シャント抵抗を使う方法(電圧変換式)
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概要:電流の流れる回路に**既知の低抵抗(シャント)**を挿入し、その両端電圧をオシロで測定
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計算式:
I = V / R
(電流 = 測定電圧 ÷ 抵抗値) -
特長:構成が簡単で、低コスト。直流〜低周波に適する
注意:抵抗による電圧降下、発熱、絶縁・安全対策が必要です。
AC電流とDC電流、どちらも測定可能?
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AC電流:ほとんどの電流プローブが対応
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DC電流:DC対応プローブが必要(ホール素子タイプなど)
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パルス電流や突入電流:高帯域プローブと十分なサンプリング速度が必要
使用時の注意点
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測定帯域は電流プローブとオシロスコープの両方で確認
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グラウンドループによるノイズやショートに注意(特にシャント方式)
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プローブ校正を忘れずに実施
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シャント法では差動プローブや絶縁型プローブの併用も有効
電流測定に適したプローブの種類
プローブタイプ | 測定可能な電流 | 特長 |
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クランプ型電流プローブ | AC/DC | 非接触、安全、高周波対応モデルもあり |
シャント+標準プローブ | AC/DC(低帯域) | 安価で簡易測定に向く |
光アイソレーション型 | 高速・絶縁測定 | 高精度かつ絶縁が必要な場合に最適 |
差動プローブ | 両端電圧測定 | シャント抵抗と併用で正確な波形取得が可能 |
まとめ
オシロスコープで電流を測定するには、電流を電圧に変換して観測する手法が基本となります。
用途や周波数帯域に応じて、電流プローブ・シャント抵抗・差動プローブなどを適切に組み合わせることで、安全かつ高精度な電流波形の観測が可能になります。