オシロスコープの選び方
オシロスコープは、電気信号の波形をリアルタイムで可視化できる計測器で、電子回路の開発・修理・教育・製造など幅広い分野で使われています。
ですが「どれを選べばいいのか分からない」という方も多いのではないでしょうか?
ここでは、用途別にどんな点に注目して選べばよいかを分かりやすく解説します。
① 帯域幅(Bandwidth)
信号中の最も高い周波数成分を正確に観測できるかを決める最重要スペックです。
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目安:測定したい信号の5倍程度の帯域幅を選ぶとよいとされています。
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例:10MHzの信号 → 50MHz以上の帯域が必要
用途 | 推奨帯域 |
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電源・低周波回路 | 50〜100MHz |
デジタル通信・MCU開発 | 100〜200MHz |
RF・高速信号測定 | 350MHz〜1GHz以上 |
② チャンネル数
同時に観測したい信号の数を基準に選びます。
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2ch:基本的なアナログ回路、比較測定に
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4ch:複雑なタイミング解析や複数ライン信号の同時観測に最適
③ サンプリングレート(Sampling Rate)
1秒間にどれだけ多くの点を測定できるか(通常 GSa/s 単位)。
高サンプリングレートほど細かく波形を再現できます。
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最低でも信号の10倍程度の周波数が必要
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高速なパルスや立ち上がり時間のある波形では重要
④ メモリ長(Memory Depth)
波形をどれだけ長時間・高解像度で記録できるかを決める要素。
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短いと波形が途中で切れる
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長いとズームしても細部まで波形が残る(解析しやすい)
⑤ 解析機能・インターフェース
機能 | 内容 |
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プロトコルデコード | I2C / SPI / UART / CANなどのシリアル通信解析 |
FFT解析 | 周波数スペクトルでノイズや成分を解析可能 |
USB・LAN・Wi-Fi接続 | データ保存やPC転送が便利。クラウド連携も |
⑥ 形状・操作性
タイプ | 特長 | 代表機種例 |
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タブレット型 | タッチ操作・携帯性◎ | Micsig TO/STOシリーズ |
卓上型 | ノブ操作・視認性◎ | SIGLENT SDSシリーズ |
ハンディ型 | コンパクトで屋外にも | OWON HDSシリーズ |
⑦ 用途別おすすめモデル(T&M取扱製品より)
用途 | おすすめモデル例 |
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教育・入門 | Micsig TO1104、OWON SDS1102 |
開発・解析 | SIGLENT SDS2000X Plus、Micsig STO1104 |
現場・保守 | OWON HDS2102S、Micsig STO1000シリーズ |
パワーエレクトロニクス | Micsig MOIP + STO / MDOシリーズ(12ビット+光プローブ) |
まとめ
オシロスコープ選定のポイントは:
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何を測るか(周波数、信号種別)
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どれくらい同時に測るか(チャンネル数)
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どう使うか(場所、操作性、保存方法)
という「用途から逆算」することが大切です。
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