オシロスコープ CAN通信対応とは?
CAN(Controller Area Network)通信は、自動車・産業機器などで広く使われているシリアル通信方式の一つです。
オシロスコープのCAN通信対応機能とは、このCAN信号を波形として観測するだけでなく、通信内容をリアルタイムに「デコード(解析表示)」できる機能のことを指します。
■ CAN通信とは?
-
**2線式(CAN_H、CAN_L)**の差動信号
-
エラー耐性が高く、多ノード接続に適している
-
主に車載ネットワーク、工場の制御機器、医療機器、ロボット制御などで使用
■ CAN対応オシロスコープでできること
機能 | 内容 |
---|---|
波形観測 | CAN_H/CAN_L信号の電圧レベルやノイズ、歪みを確認 |
デコード解析 | ID、DLC、データ、CRCなどを自動で解析し、テキスト表示 |
トリガ機能 | 特定のIDやデータ値に合わせてトリガをかけ、該当通信だけを拡大観測 |
エラー検出 | ビットエラー、ACKエラーなどを視覚的に確認可能 |
波形+プロトコル同時表示 | 上段に波形、下段にCANの解析結果を重ねて表示できるモデルもあり |
■ こんなシーンで活躍
-
車載ECUの通信動作確認
-
CANバスの遅延・衝突・ノイズ解析
-
電子制御ユニット(ECU)開発・試験
-
教育機関での通信プロトコル学習
■ CAN通信対応モデルを選ぶポイント
項目 | 推奨内容 |
---|---|
帯域幅 | 100MHz以上(CANの立ち上がり・過渡波形を正確に測定) |
チャンネル数 | 最低2ch(CAN_H/CAN_L)、通信+制御信号を測るなら4ch |
プロトコルデコード機能 | CAN(必要ならCAN FD)に対応したデコード機能があるか |
トリガ機能 | ID/データ/エラー種別でのトリガが可能か |
分解能 | 10ビット以上あると、ノイズと信号を分離しやすい |
長時間記録 | バス全体の流れを見たい場合は、メモリ深度が長いもの(70Mpts以上) |
■ T&Mコーポレーションおすすめ製品(CAN対応)
製品名 | 特長 | 用途例 |
---|---|---|
SIGLENT SDS1104X-E | CAN/LINデコード対応、100MHz/4ch、コスパ◎ | 整備・教育 |
SIGLENT SDS2104X Plus | CAN/CAN-FD/LIN/SENT対応、500MHz/4ch | 車載開発・信頼性試験 |
Micsig STO1104C | 12ビット分解能、CANデコード対応、Wi-Fi搭載 | タブレット型、現場・実験室兼用 |
Micsig MDO5004 | 500MHz/12ビット、CAN+高電圧測定に対応 | EV・インバータ評価+通信 |
■ 補足:プローブ選定について
-
CAN信号測定には、**差動プローブ(20MHz〜100MHz帯)**が推奨されます
-
より高精度な測定には、**光アイソレーション差動プローブ(Micsig MOIPシリーズ)**がおすすめです
まとめ
-
CAN通信対応オシロスコープは、車載通信や産業機器の診断・開発・教育に不可欠
-
デコード機能を使えば、**「見える」「読める」「調べられる」**測定が可能に
-
T&Mでは、用途・予算に応じた多彩なCAN対応モデルとプローブ構成をご提案しています