
キャリアアグリゲーション(CA)は、複数の異なる周波数帯の電波を束ねて、一つの大きな通信路として利用することで、データ通信速度を向上させる技術です。これにより、より多くの情報を同時に送受信できるようになり、通信が高速化します。
LTEと5Gにおけるキャリアアグリゲーション
LTE
LTEの時代に、キャリアアグリゲーションはLTE-Advancedという技術で導入されました。複数の周波数帯(キャリア)を束ねることで、通信速度を大幅に向上させました。これにより、従来のLTEでは達成できなかった、下り最大100Mbpsを超える高速通信が可能になりました。
例えば、KDDIが2014年に発表した技術では、800MHz帯の10MHz幅と2.1GHz帯の10MHz幅を束ねて、下り最大150Mbpsを実現しました。さらに技術が進み、複数の周波数帯を束ねることで、下り最大300Mbpsやそれ以上の速度も実現されています。
5G
5Gでは、キャリアアグリゲーションはさらに重要な役割を果たします。5Gでは、LTEよりも広範囲な周波数帯域を利用するため、複数の周波数帯を組み合わせることで、通信速度を飛躍的に向上させることができます。特に、広い帯域幅を持つミリ波と、電波の届きやすいサブ6GHz帯などを組み合わせることで、広範囲で超高速な通信を実現する上で不可欠な技術となっています。
最大スループット
キャリアアグリゲーションによる最大スループット(通信速度)は、使用する周波数帯域の幅や数、アンテナの数、および変調方式などによって変動します。
LTE
LTE-Advancedでは、最大5つの周波数帯を束ねることができ、下り最大で数百Mbpsの速度を実現しました。例えば、20MHz幅の周波数帯を2つ束ねることで下り最大300Mbps、3つ束ねることで下り最大450Mbpsといった速度が実現されています。
5G
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LTE : 複数の周波数帯(例えば、800MHz帯と2.1GHz帯)を組み合わせることで、初期のLTEの受信時最大速度150Mbpsから、300Mbps、さらに450Mbpsや988Mbpsといった速度へと進化してきました。
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5G Sub6 : 5Gでは、広帯域なSub6帯域をさらに束ねることで、LTEをはるかに上回る通信速度を実現します。NTTドコモとQualcommの事例では、Sub6帯域でのキャリアアグリゲーションにより、受信時最大4.2Gbpsに対応する予定です。
5Gでは、さらに広帯域な周波数帯を複数組み合わせることが可能で、理論上下り最大で10Gbps以上の超高速通信が実現可能です。しかし、これはあくまで技術規格上の最大値であり、実際の通信速度は、利用環境や端末の性能、基地局の混雑状況などによって大きく左右されます。
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