キャリブレーションとは

キャリブレーション(Calibration)とは、測定器やセンサが正確な値を表示するように基準値と照らし合わせて調整・確認を行う作業のことです。日本語では「校正」とも呼ばれ、計測の信頼性を維持するために欠かせない工程です。


なぜキャリブレーションが必要か?

  • 測定値の正確さを保証するため

  • 経時変化や環境要因によるズレを補正するため

  • 品質保証やトレーサビリティの確保

  • 国際規格や顧客要求への対応

例えば、オシロスコープや電源、ネットワークアナライザなどの測定器は、使い続けるうちに内部回路の劣化や温度変化などにより表示値がわずかにずれていくことがあります。キャリブレーションはこれを定期的に正すプロセスです。


キャリブレーションの種類

分類 内容
内部キャリブレーション 測定器が自分自身の誤差を自動補正。ユーザーが簡単に実行可能(例:オシロスコープのプローブ補正)。
外部キャリブレーション 基準器と比較して外部から調整。専門設備が必要。トレーサブルな校正証明書の発行が可能。
校正証明書付きキャリブレーション 第三者機関またはメーカーによる正式な校正。ISO/IEC 17025などの認定取得機関によるものも。

実施頻度の目安

  • 測定器の種類や使用頻度、用途によって異なりますが、一般的には1年に1回の定期校正が推奨されます。

  • ISO認証取得企業や研究機関では、より厳格な管理が求められることがあります。


オシロスコープにおけるキャリブレーションの例

  • プローブ補正(プローブキャリブレーション)
     測定前に、付属の方形波出力で波形の立ち上がりや高さを調整し、正確な波形表示を実現。

  • ゼロ点調整や自動校正機能
     オシロスコープ本体が自動的に内部回路の誤差を補正する機能が搭載されていることがあります。


キャリブレーション証明書とは

キャリブレーションを実施した際に発行される文書で、以下の情報が含まれます:

  • 校正日時と実施者

  • 測定器の型番・製造番号

  • 測定値と基準値の差(偏差)

  • 使用された基準器の情報(トレーサビリティ)

  • 校正条件(温度、湿度など)

この証明書は、機器の精度保証や品質管理上の証拠として非常に重要です。


まとめ

キャリブレーションは、測定器が常に正確に動作するための「健康診断」のようなものです。定期的な校正によって、信頼できる測定データを維持し、不良品の発生や誤判断のリスクを低減することができます。
測定の信頼性を保つ第一歩として、キャリブレーションの重要性を理解し、計画的に実施することが求められます。