シリコンフォトニクスとInP(インジウムリン)化合物半導体は、**光電融合技術**において、それぞれが持つ長所を補完し合う関係にあり、次世代の高速・低消費電力な情報通信基盤(NTTのIOWN構想など)の実現に不可欠な技術です。
1. シリコンフォトニクス(Silicon Photonics: Si Ph) 💡
シリコン(Si)フォトニクスは、従来の電子回路技術で培われたCMOSプロセス(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)をベースに、光回路(導波路、変調器など)をSi基板上に集積する技術です。
| 特徴 | 詳細 |
| 利点 | 低コスト・高集積性: 既存のSi半導体製造設備(ファウンドリ)を利用でき、電子回路との高密度集積に適しています。 |
| 用途 | 光信号の伝送・処理:Si導波路を用いた信号伝送、高速変調器、受光器の集積。 |
| 課題 | 光の生成(発光): Siは間接バンドギャップ半導体であるため、効率よく光を出すことができず(発光素子としての性能が低い)、光源として使用できません。 |
2. InP(インジウムリン)化合物半導体 ⚡
InP系化合物半導体(InGaAsPなど)は、Siとは対照的に、光通信に必須の機能を担う優れた発光材料です。
| 特徴 | 詳細 |
| 利点 | 高効率な発光: 直接バンドギャップ半導体であるため、レーザー(光源)や光増幅器を効率よく作製でき、高速な光電変換が可能です。 |
| 用途 | 光源、増幅、高速変換: 光通信に必要なLD(レーザーダイオード)、SOA(半導体光増幅器)、高速の光検出器などに使用されます。 |
| 課題 | 高コスト・低集積性: 製造プロセスが複雑で高コストであり、Si回路のような超高密度集積には不向きです。 |
3. 光電融合における役割分担と統合技術 🤝
光電融合技術(チップレット技術など)は、これらの技術の課題を相互に補完するために開発されています。
| 役割 | 技術 |
| 光の生成/変換 | InPチップ(光源) |
| 光の処理/伝送 | Siフォトニクスチップ(導波路、変調器) |
| 電子回路 | Si電子回路チップ(CMOSトランジスタ) |
異種材料集積技術
NTTをはじめとする各社が開発しているのは、光の生成(InP)と光の処理/電子制御(Si)を、ウェハ接合やフリップチップ実装などの技術を用いて同一パッケージ上、または同一チップ上で高精度に接続・融合する技術です。
これにより、光信号がチップ外に出ることなく、低遅延かつ低消費電力で光と電子の変換が行えるようになり、IOWNが目指すチップ内光配線などの究極の光電融合が実現可能となります。
Ceyear社ではLightwave Component Analyzer、Optical Spectrum Analyzerをラインナップしています。
2025年マイクロウェーブ展で展示されます。https://tm-co.co.jp/mwe2025/









