シリーズ電源の使い方【基本操作と活用例】
シリーズ電源は、低ノイズ・高安定出力が特長のリニア電源方式の一種で、アナログ回路や精密測定に最適です。
ここでは、シリーズ電源の基本的な使い方から、安全に使うポイント、実際の用途例までをわかりやすく解説します。
1. シリーズ電源の基本構成
シリーズ電源は、主に以下のブロックで構成されています:
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入力部(AC→DC変換)
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制御素子(直列レギュレータ)
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リファレンス電圧回路
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出力端子(+/-)
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保護回路(OCP、OVPなど)
ユーザーは、電圧値・電流制限値を設定し、機器へ電力を供給します。
2. 基本的な使い方(操作手順)
① 電源を接続
AC電源ケーブルをコンセントに接続し、電源スイッチをONにします。
② 出力電圧を設定
ツマミまたはボタンで希望の電圧(V)を入力します。例:5.00V
③ 電流制限(CC)を設定
過電流保護のため、想定される最大電流を設定します。例:1.00A
④ 出力ON(出力を有効にする)
“Output”ボタンなどで出力をONにすると、出力端子に電力が供給されます。
⑤ 測定機器や負荷と接続
リード線で被測定物(回路、ボードなど)と+/-端子を接続します。
3. 使用上の注意点
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必ず出力OFFで接続・取り外しを行う
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ショート状態にならないよう接続を確認
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リモートセンシング端子がある場合は正しく使用する
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通風・放熱に注意し、換気の良い場所で使用
4. シリーズ電源の活用例
使用例 | 解説 |
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センサ回路の動作確認 | 低ノイズ出力で誤動作や影響が少ない |
アナログIC(OPアンプなど)の電源供給 | 出力安定性が高く、信号特性評価に適する |
ノイズ試験用の基準電源として | 外部ノイズの混入が少ない |
教育・実験用電源 | 操作が直感的で安全機能も搭載 |
5. シリーズ電源とCC/CVモードの理解
多くのシリーズ電源はCV(定電圧)/CC(定電流)モードを自動切替します。
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CVモード:設定電圧を維持(負荷が設定電流未満)
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CCモード:設定電流に達すると電圧を下げて制限(保護動作)
モード切替の挙動を理解しておくことで、回路への誤動作を防げます。
6. より便利な使い方(応用)
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複数出力モデルの組み合わせ
シリーズ/パラレルモードで電圧や電流範囲を拡張可能 -
出力ON/OFFの外部制御
リモートインターフェース(USB、LAN、RS232)を活用し、自動試験にも対応 -
データロギング機能を活用
出力電圧・電流の変化を記録し、製品の挙動確認や信頼性評価に活用
まとめ
シリーズ電源の使い方は非常にシンプルでありながら、精密な測定や回路試験において高い信頼性を発揮します。
正しい設定と接続方法を理解することで、安全かつ安定した電源供給が可能になります。