スイッチマトリックス入門:原理・種類・活用シーンを詳しく解説

スイッチマトリックス(Switch Matrix)は、複数の信号経路を電子的に切り替えることができる高機能なスイッチ装置です。主にRF(高周波)測定や自動テストシステム(ATE)に用いられ、複雑な測定システムの自動化と効率化に大きく貢献します。

本記事では、スイッチマトリックスの仕組みや種類、用途、選定ポイントまで、わかりやすく解説します。

 

スイッチマトリックスとは?

スイッチマトリックスは、多数の入力ポートと出力ポートの間で信号の接続・切断を電子的に制御できる装置です。測定機器と複数の被測定デバイス(DUT)を柔軟に接続し、自動測定を実現します。

主な構成は以下の通りです:

  • RFスイッチ:高周波信号をオン/オフする電子スイッチ。

  • 制御ユニット:マイクロコントローラや外部PCと接続し、スイッチ操作を制御。

  • I/Oポート構成:8×8、4×16 など多様な組み合わせが可能。

 

スイッチマトリックスの活用例

自動テスト装置(ATE)

VNAやSG、スペクトラムアナライザなどの計測器とスイッチマトリックスを組み合わせることで、複数のDUTを自動かつ迅速に切り替えながら測定できます。

製造ラインでの多点測定

量産工程で、複数の測定ポイントを効率的にスキャン。人手の介入を減らし、作業ミスを低減します。

測定再現性の向上

配線の再接続が不要になるため、再現性の高い測定が可能です。特に高周波領域ではコネクタの摩耗防止にも有効です。

 

トポロジーの種類

トポロジー 特徴
マルチプレクサ型 1入力から複数出力、またはその逆方向の構成。簡易な切替に適しています。
マトリクス型 複数入力×複数出力の接続が自由。柔軟性が高く、複雑な測定に対応。
クロスポイント型 全入力・出力間の個別接続が可能。高精度で高機能な構成。

 

機種選定のポイント

  • 対応周波数:必要な測定周波数を十分にカバーできるか。

  • 挿入損失:信号の減衰が最小限であるか。

  • アイソレーション:隣接する信号経路への漏洩を防げるか。

  • スイッチング速度:高速切り替えが求められる用途に適しているか。

  • 制御インターフェース:USB、LAN、GPIBなどの接続方式への対応。

 

まとめ:スイッチマトリックスは測定効率の鍵

スイッチマトリックスは、RF測定において自動化、省力化、高精度化を実現する上で欠かせない装置です。適切な構成と制御により、作業効率と測定品質を大きく向上させることができます。

T&Mコーポレーションでは、SIGLENTをはじめとする各種スイッチマトリックス対応ソリューションを取り扱っており、VNAや各種RF計測機器との統合提案も可能です。デモ機貸出や技術サポートも行っておりますので、お気軽にご相談ください。