スペクトラムアナライザ 入力保護の実践ポイント

 

保護策 内容
① 初期アッテネータ設定は必ず20 dB以上 内部アッテネータ(ATT)を初期設定で20〜30 dBに。
内部アッテネータは第一防御壁。
② DCブロックを標準装備 入力ラインにDCバイアスの可能性がある場合はDCブロックを必ず挿入。
特にアンプ、電源ライン測定時は必須。
③ 不明信号は必ず事前確認 事前にパワーメータや電圧プローブで信号レベル確認。
いきなりスペアナに接続しない。
④ プリアンプは必要時のみ使用 プリアンプON時は耐入力が著しく低下(-30 dBm程度になる機種も多い)。
安全確認後にON。
⑤ 外部リミッタの活用 高出力源測定時は外付けRFリミッタ(PINダイオード型など)を使用。
ただし、挿入損失と歪に注意。
⑥ ESD対策を徹底 ケーブル・治具・人体を帯電させない。
静電気リストバンド、共通アース、事前放電を習慣化。
⑦ コネクタ取扱は慎重に SMA・N型コネクタは無理な力を加えず、必ずセンター位置合わせて挿入。
斜め挿入は厳禁。
⑧ 長時間高入力は避ける 出力の高い送信機・増幅器測定時は測定時間を短く。
終端抵抗やATTが徐々に劣化するのを防ぐ。
⑨ 雷・誘導障害にも注意 屋外アンテナ系はサージ保護器の使用推奨。
⑩ 入力インピーダンス切替に注意 機種によっては50Ω/高インピーダンス切替で耐性が変わる。マニュアル確認。

現場でよく言われる「鉄の掟」

「ATT 20dB・DCブロック・プリアンプOFFがデフォルト」

これは現場の人はみんな覚えています。


まとめの一言

👉 スペアナ入力は「慎重すぎるくらい慎重」でちょうど良い。
一度壊すと「ミキサ交換50万円コース」なので。


最後に: SIGLENT SSA3000X-R の簡単な紹介

SIGLENT SSA3000X-Rは、リアルタイムスペクトラムアナライザ機能を搭載した高性能モデルです。
汎用スペアナとリアルタイム機能を両立し、EMI評価や瞬時信号の観測にも対応します。


主な特徴

  • 周波数レンジ
    9 kHz ~ 7.5 GHz(モデルにより3.2 GHz / 5 GHzもあり)

  • リアルタイムスペアナ機能搭載
    最大40 MHzのリアルタイム帯域幅
    一時的な過渡信号・バースト・インターミッテントノイズも捕捉可能

  • 高ダイナミックレンジ
    DANL:-165 dBm/Hz(プリアンプON時)
    TOI(三次相互変調):+20 dBm

  • 優れた表示性能
    大型10.1インチタッチディスプレイ搭載

  • EMIプリテスト対応
    EMIフィルタ・準ピーク検波・制限線表示を内蔵(EMIオプション)

  • 多彩な解析機能
    スペクトログラム、マスク、周波数ホッピング測定、AM/FM解析、IQ解析など

  • 豊富なインターフェース
    LAN, USB, HDMI, 外部トリガ等を標準搭載

  • コストパフォーマンス
    リアルタイム機としては非常に安価


主な用途

  • 無線通信評価

  • EMIプリコンプライアンステスト

  • RF回路の開発・評価

  • 瞬時信号・バースト信号の可視化

  • 教育・研究用途


👉 SSA3000X-Rは、SIGLENTのスペアナシリーズの中でも「リアルタイム入門機」ポジションで非常に使いやすい機種です。