ダイヤモンド半導体の最も有望な宇宙応用の一つが、宇宙通信向けのマイクロ波電力増幅デバイス(高周波パワーデバイス)の開発です。
これは、従来の半導体では対応が難しかった衛星通信の分野で、ダイヤモンドの持つ優れた特性を活かし、高性能化・高効率化を図ることを目指すものです。
開発の背景と目標
現在、人工衛星の通信機器、特に高出力が求められる電波の送信部分では、**真空管(進行波管など)**が使用されている現状があります。しかし、真空管は寿命や大型化・高コスト化といった課題を抱えています。
ダイヤモンド半導体は、この真空管を置き換える、より高性能で信頼性の高い**固体増幅器(半導体デバイス)**を実現するための「究極の半導体」として期待されています。
主な開発目標
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高出力・高周波数の実現:
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衛星通信に不可欠なマイクロ波帯での高周波・高出力動作を実現し、通信の高速化を目指します。
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従来のSiCやGaNといった次世代半導体材料をも凌駕する性能指数(ジョンソン性能指数など)を持つダイヤモンドの特性を最大限に引き出します。
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小型化・軽量化・省エネ化:
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ダイヤモンドの高い熱伝導率と高効率な電力変換により、真空管に比べてデバイスを大幅に小型化・軽量化し、衛星への搭載制約を緩和します。
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電力損失の少ない高効率な増幅器により、人工衛星の省エネルギー化に貢献します。
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高い信頼性の確保:
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宇宙空間の高放射線環境や温度変化に耐え、長期間安定して動作する高い信頼性を確保します。
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日本の研究開発の動向
日本はダイヤモンド半導体の研究開発において世界をリードしており、特に宇宙応用に関して国家的な取り組みが進められています。
| 開発体制 | JAXA(宇宙科学研究所)、佐賀大学、呉工業高等専門学校 などが連携 |
| プロジェクト | 文部科学省「宇宙開発利用加速化戦略プログラム」の委託事業として、**「ダイヤモンド半導体デバイスの宇宙通信向けマイクロ波電力増幅デバイスの開発」**を2023年度から5年間の予定で開始しました。 |
| 目標 | ダイヤモンド半導体デバイスを使用した搭載用マイクロ波帯固体増幅器の試作を行い、超小型衛星などでの飛翔機会を活用した宇宙実証を目指しています。 |
| その他 | 佐賀大学は、世界初のダイヤモンド半導体パワー回路の開発にも成功するなど、技術開発を牽引しています。また、株式会社Power Diamond Systemsなどのスタートアップ企業も、JAXAとの共同研究を通じて宇宙機応用を見据えた技術検証を進めています。 |
この開発が成功すれば、宇宙機の通信性能が飛躍的に向上し、日本の宇宙産業の競争力強化に繋がると期待されています。
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