トレーサビリティチャートとは
トレーサビリティチャート(Traceability Chart)とは、ある測定器の校正に使用された基準器の校正履歴や関連機器との関係性を図式化したもので、校正の信頼性と測定の根拠を可視化する目的で用いられます。
トレーサビリティとは?
「トレーサビリティ(Traceability)」とは、ある測定値が国家標準(または国際標準)にどのように結びついているかをたどることができる状態を指します。
つまり、「この測定値がなぜ正確であるといえるのか?」を説明するための“証拠の流れ”です。
トレーサビリティチャートの役割
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✅ 測定器の校正結果が信頼できる基準に基づいていることを明確にする
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✅ 使用された校正用基準器の系統と校正日・校正機関を確認可能
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✅ 測定値が国家標準や国際標準にリンクしていることを示すことで、品質保証や監査対応に有効
一般的なトレーサビリティチャートの構成
国家標準(NMI) ← 校正機関(JCSS/ISO 17025) ← 基準器A ← 基準器B ← 測定器(ユーザー使用機器)
このように、上位の国家標準から順に、どの機器を通じて、どの機関で校正されてきたかが一目でわかる形で図式化されています。
トレーサビリティチャートが重要となる場面
シーン | 理由 |
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ISO認証の取得や維持 | ISO 9001やISO/IEC 17025などでは、校正のトレーサビリティが要求されます。 |
顧客監査への対応 | 測定器の精度や管理状態について説明責任を果たすため。 |
品質管理記録 | 製品の検査や開発データの裏付けとして必要。 |
校正証明書の補足資料として提出 | 校正証明書だけでは不明な関係性を視覚的に補完。 |
トレーサビリティチャートの記載項目(例)
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測定器の名称・型式・製造番号
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校正に用いた基準器の一覧(型式・校正日・使用者)
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校正を実施した機関と校正証明書番号
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国家標準に到達するまでの系統図(階層的なつながり)
まとめ
トレーサビリティチャートは、「その測定器がどのような基準に基づいて正確であると証明できるか」を図で示すための資料です。
校正証明書とあわせて提出・保管することで、計測の信頼性を確保し、品質管理体制を強化することができます。