パッシブプローブとは

**パッシブプローブ(Passive Probe)**とは、オシロスコープに接続して信号を測定する際に最も一般的に使用されるプローブです。内部に増幅回路などの能動素子(アクティブ素子)を持たないことから「パッシブ(受動)」と呼ばれます。


特徴と利点

  • 価格が比較的安価

  • 構造がシンプルで壊れにくい

  • 電源が不要で取り扱いやすい

  • 一般的なオシロスコープに標準付属されていることが多い

これらの特徴から、教育現場や初学者の測定、低〜中周波の一般回路測定に広く使用されています。


主な仕様と意味

項目 説明
減衰比(Attenuation) 通常は10:1または1:1。高電圧の信号を安全に観測するために信号を減衰。
帯域幅 多くは70MHz〜500MHz程度。高速測定には不向きな場合も。
入力インピーダンス 一般に10MΩ。回路に与える負荷が小さい設計。
最大入力電圧 数百V程度まで対応。オーバーレンジに注意。

よくある使い方

  • 電源出力やマイコンのI/O信号など、GND基準でのシンプルな電圧測定

  • LEDのON/OFF波形やPWM信号の可視化

  • 初心者による波形観測の練習や学習


使用上の注意点

  • グラウンドリードを短く保つ
     ノイズやリンギングを防ぐため、可能な限り短く接続するのが基本です。

  • プローブ補正(キャリブレーション)を忘れずに
     付属の1kHz方形波で波形が正しく表示されるように調整します。

  • 測定対象の電圧や周波数がプローブ仕様内に収まっているか確認
     特に減衰比1:1の設定では電圧制限が低くなります。


パッシブプローブとアクティブプローブの違い

項目 パッシブプローブ アクティブプローブ
内部構造 抵抗・コンデンサのみ 増幅回路を含む
帯域幅 数百MHzまで 数GHzまで対応可能
測定対象 一般回路、教育用途など 高速信号、小信号、高インピーダンス回路
価格帯 安価 高価
電源供給 不要 必要(USBまたは外部電源)

まとめ

パッシブプローブは、最も基本的で汎用性の高いオシロスコープ用プローブです。用途や周波数帯域を正しく理解し、安全に使用することで、日常的な回路測定を効率よく行うことができます。初めてオシロスコープを使う方にも最適な選択肢です。