パルス波形と矩形波の違いとは?
パルス波形と**矩形波(くけいは)**は、どちらも「高/低の2値状態」を交互に繰り返す波形として見た目が似ていますが、定義・特性・用途が異なります。
このページでは、両者の違いをわかりやすく解説します。
パルス波形とは?
**パルス波形(Pulse Waveform)**とは、短時間だけON(高電位)になる信号で、周期性を持たない単発または断続的な信号を指します。
一例として、1回だけピッと出る信号(単発パルス)や、一定間隔で短時間だけONになる信号(パルストレイン)などがあります。
特徴:
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短時間の信号(幅が狭い)
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単発または不定期な繰り返しも含む
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立ち上がり/立ち下がり時間が重要
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主にトリガ信号、応答評価、パルス応答試験などに使用
矩形波とは?
**矩形波(Square Wave)**は、ON(高電位)とOFF(低電位)を同じ時間幅で周期的に繰り返す波形です。
典型的な矩形波は、**デューティ比が50%(ONとOFFの時間が等しい)**の波形を指します。
特徴:
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周期的にON/OFFを繰り返す
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デューティ比50%が基本形(=矩形波の定義)
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クロック信号やデジタル回路の基準波形として使用
比較表:パルス波形と矩形波
項目 | パルス波形 | 矩形波 |
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定義 | 短時間の高レベル信号 | ON/OFFを周期的に繰り返す信号 |
デューティ比 | 小さい(10%以下が多い) | 通常は50% |
周期性 | 単発または非周期もあり得る | 常に周期的 |
主な用途 | 応答試験、トリガ信号、制御信号 | クロック、タイミング制御 |
代表的な波形生成方法 | パルスジェネレータ、ファンクションジェネレータ | ファンクションジェネレータ |
応用例の違い
用途 | 推奨波形 | 理由 |
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トリガ信号の発生 | パルス波形 | 一度だけONになる必要があるため |
マイコンのクロック入力 | 矩形波 | 安定した周期と50%デューティ比が求められる |
応答遅延測定 | パルス波形 | 入力に対する出力の遅延を明確に確認できる |
パルス幅変調(PWM)制御 | パルス波形 | デューティ比を可変にして出力を制御するため |
まとめ
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パルス波形:一時的な信号、非周期、デューティ比が低い → 主に制御や応答試験用
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矩形波:周期的に繰り返す信号、デューティ比50% → 主にクロックやデジタル制御用
両者は似た形をしていますが、使いどころと目的が異なる別の波形です。正しく理解して使い分けることが、測定・制御の精度向上につながります。