ビルトイン電流ソースとは
~測定機器に内蔵された定電流供給機能~
■ 定義
ビルトイン電流ソース(Built-in Current Source)とは、測定器やシステム装置に内蔵された“定電流出力機能”のことを指します。
外部電流源を別途接続することなく、装置本体から必要な電流(µA〜mA〜Aレベル)を直接供給できるため、測定系が簡素化され、再現性の高い測定環境を実現できます。
■ 主な役割とメリット
項目 | 内容 |
---|---|
✅ デバイスのI-V特性評価 | MOSFET、ダイオード、LEDなどの電圧応答測定に定電流を使用 |
✅ 高精度抵抗測定 | 抵抗に定電流を流し、電圧を測定してR = V/Iで算出(4端子測定) |
✅ センサー駆動 | 電流源駆動が必要なセンサ(圧電・熱電・光電変換)に対応 |
✅ 外部電源不要 | 外付けの電流源が不要で、装置一体型でコンパクト&省配線 |
■ 使用される測定器の例
測定器カテゴリ | ビルトイン電流ソースの用途例 |
---|---|
C-V測定器 | C-V測定中にセンサバイアスや電流注入用途で使用 |
LCRメーター | 高抵抗部品やキャパシタの電圧応答測定に活用(高インピーダンス対象) |
パラメトリックアナライザ | デバイスI-V特性の電流掃引(Source Currentモード) |
半導体アナライザ/SMU | 内蔵ソースメジャーユニットが定電流を精密出力 |
■ 主なスペック項目(参考)
項目 | 説明 |
---|---|
出力レンジ | 1 nA ~ 100 mA程度(装置による) |
出力分解能 | pA〜µA級(研究用途)/0.1 mA級(量産用途) |
出力安定性 | 高安定な定電流供給が可能(誤差数 ppm〜%レベル) |
出力方式 | 2端子/4端子対応(ケルビン構成) |
■ 注意点
-
⚠ 出力できる電圧範囲(Compliance Voltage)を超えないよう設計が必要
-
⚠ 微小電流測定ではシールドとケーブル選定も重要
-
⚠ 高抵抗測定では測定系全体の漏れ電流やノイズの影響に注意
■ まとめ
ビルトイン電流ソースは、測定装置の中核機能の一つであり、外部電流源を使わずに高精度な電流供給を可能にする機構です。
特に、半導体デバイス評価や高抵抗測定、センサーの駆動評価において大きな利便性を発揮します。
T&Mコーポレーションでは、内蔵電流ソース付きのC-V測定器やSMU搭載パラメトリック測定器を各種取り扱っており、要件に応じた仕様選定・アプリケーションサポートも行っております。