ファンクションジェネレータとAWGの違いとは?
**ファンクションジェネレータ(Function Generator)と任意波形ジェネレータ(Arbitrary Waveform Generator/AWG)**は、どちらも波形信号を出力する装置ですが、出力できる波形の自由度や精度、用途に大きな違いがあります。
ファンクションジェネレータとは?
ファンクションジェネレータは、以下のような基本的な波形を出力することに特化した信号源です:
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サイン波(Sine)
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方形波・矩形波(Square)
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三角波(Triangle)
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パルス波(Pulse)
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ノイズ(機種による)
これらの波形は内部でアナログ的またはデジタル的に生成される標準波形であり、設定項目はシンプルで操作が直感的です。
主な用途:
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アナログ・デジタル回路の動作確認
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フィルタ、アンプ、センサの評価
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クロック信号やトリガ信号の生成
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教育現場での基礎実験
任意波形ジェネレータ(AWG)とは?
AWGは、ユーザーが任意に定義した波形データを出力できる信号源です。
これにより、以下のような複雑または実信号に近い波形を精密に再現できます:
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非対称パルス、複雑なバースト波形
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通信信号(FSK、QAM、OFDMなど)
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複数成分の混合波形
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実測波形の再生
波形はソフトウェアで作成し、メモリに登録して出力する仕組みです。
主な用途:
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通信規格のシミュレーション
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センサ信号の模擬入力
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医療・音響・バイオ系など特殊波形の再現
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システムレベルの応答試験
機能と性能の比較
項目 | ファンクションジェネレータ | 任意波形ジェネレータ(AWG) |
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出力波形の種類 | 基本的な標準波形 | ユーザー定義の任意波形 |
波形の自由度 | 低(プリセット中心) | 高(複雑な波形も再現可能) |
操作性 | シンプル、初心者向け | やや高度、ソフトウェア連携が必要 |
価格帯 | 比較的安価 | 同じ帯域でも高価になりやすい |
使用目的 | 基本信号の出力、一般測定用 | 応用試験、高精度・高機能な波形出力 |
どちらを選べばいい?
使用目的 | 適したジェネレータ |
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教育・基礎実験、基本機能試験 | ファンクションジェネレータ |
通信機器の規格対応テスト | AWG |
高速・非対称パルスやカスタム信号出力 | AWG |
低価格で汎用的な波形が欲しい | ファンクションジェネレータ |
まとめ
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ファンクションジェネレータは、「簡単・安価・基本的な波形」に特化した装置。
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**AWG(任意波形ジェネレータ)**は、「自由度・精度・複雑な波形再現」に優れた高機能な装置。
目的や使用レベルに応じて、シンプルさを重視するか、柔軟性・性能を重視するかで使い分けることが重要です。