ローカル5Gとプライベート5Gは、いずれも企業や自治体の特定の敷地内で利用する専用の5Gネットワークを指しますが、ネットワークの所有・運用主体と利用する周波数帯に大きな違いがあります。
簡単に言えば、ローカル5Gは「自営・独立型」で、プライベート5Gは「キャリア依存型」の専用ネットワークです。
ローカル5Gとプライベート5Gの比較
| 項目 | ローカル5G (Local 5G) | プライベート5G (Private 5G) |
| ネットワークの所有者 | 企業・自治体などのユーザー自身 | 携帯通信キャリア(MNO/MVNO) |
| 周波数帯 | ローカル5G専用周波数帯(例: 4.6GHz帯、28GHz帯の一部) | キャリアが保有する周波数帯(パブリック5Gと同じ) |
| 無線局免許 | ユーザー自身が取得・申請が必要 | 不要(キャリアが保有) |
| 設備・運用 | ユーザーが自前で構築・運用・保守 | キャリアが構築・運用・保守(サービス利用) |
| パブリック網との独立性 | 完全に独立(キャリアの通信障害の影響を受けない) | キャリアのネットワーク基盤を利用(通信障害の影響を受ける可能性がある) |
| カスタマイズ性 | 高い(ネットワーク構成や上り/下りの帯域比などを自由に設計可能) | 限定的(キャリアのサービス仕様に依存) |
| 導入ハードル | 高い(免許、設備投資、専門知識が必要) | 低い(サービス契約のみで済み、初期費用を抑えやすい) |
| 位置づけ | 自営ネットワーク | パブリック5Gとローカル5Gの中間 |
1. ローカル5G(Local 5G)の詳細
定義
企業や自治体などが、国から割り当てられた専用の周波数帯(ローカル5G帯)を利用して、自らの敷地内(ローカルなエリア)に自営で構築・運用する5Gネットワークです。
特徴
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真の独立性: 携帯通信キャリアのネットワークとは完全に切り離されているため、キャリア側の通信障害や公衆回線の混雑の影響を一切受けません。
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柔軟な設計: ユーザーのニーズ(例:工場内のAGV向けに超低遅延を重視、監視カメラ向けに上り通信速度を重視など)に合わせて、ネットワーク構成や帯域幅を柔軟にカスタマイズできます。
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高セキュリティ: ネットワークを占有し、外部から隔離されているため、極めて高いセキュリティを確保できます。
課題
免許取得の手間、基地局などの初期設備投資が高額になること、運用・保守に専門的な知識が必要なことが導入の主なハードルとなります。
2. プライベート5G(Private 5G)の詳細
定義
携帯通信キャリア(MNOなど)が、自らが保有するパブリック5Gの周波数帯やコアネットワークを活用し、特定の企業や自治体向けに、その敷地内に専用のネットワーク環境を構築して提供するサービスです。
特徴
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導入の容易さ: ユーザーは無線局の免許取得や設備の構築・運用を自ら行う必要がなく、キャリアのサービスとして利用できるため、導入のハードルが低く、初期コストを抑えやすいです。
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キャリア依存: 利用する周波数帯やネットワークの基盤はキャリアと共通しているため、キャリアが設定するサービス仕様に依存します。また、キャリア側のシステムに大規模な障害が発生した場合、影響を受ける可能性があります。
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ネットワークスライシング: パブリック5Gのネットワーク内に、特定のユーザー専用の領域(スライス)を仮想的に確保することで、他のユーザーの影響を受けにくい専用回線を実現します。
課題
ローカル5Gほどの設計の自由度や完全な独立性は得られません。


