プログラマブル電源とは
プログラマブル電源(Programmable Power Supply)とは、出力電圧や電流をデジタル的に設定・制御できる電源装置のことです。
手動ダイヤルやスイッチで設定する従来の電源とは異なり、ボタン操作やPCからのリモート制御によって精密な電源供給や自動テスト制御が可能です。
プログラマブル電源の主な特長
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電圧・電流を数値で細かく設定可能
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USB・LAN・RS232・GPIBなど外部通信制御に対応
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リモートセンシング機能で電圧降下補正
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シーケンス機能やタイマー動作による自動制御
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モニタリング・保護機能(OCP, OVP, OTP等)を搭載
設定した条件を保存・再現できるため、開発・生産・評価・自動試験装置への組み込みなど、多様な場面で活躍します。
プログラマブル電源の用途例
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電子回路や基板の電源評価
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製品の電源ON/OFFテスト(耐久・起動確認)
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バッテリー充放電テスト
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電源シーケンス制御(マルチ出力機器の試験)
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自動試験装置(ATE)での繰返し試験
試験や検証作業を自動化・省力化したい現場では、プログラマブル電源が必須となっています。
プログラマブル電源の種類
種類 | 特徴 | 主な用途例 |
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単出力タイプ | 1つの出力を高精度制御 | 一般的な電源評価に |
多出力タイプ | 複数出力を1台で制御 | マルチ回路の一括評価に |
リニア方式 | 低ノイズ・高精度 | アナログ・音響回路向け |
スイッチング方式 | 高効率・軽量 | 高出力や可搬型、量産設備向け |
2象限/4象限出力タイプ | 電力の供給・吸収どちらも可能 | バッテリーテストや双方向負荷 |
ラボ向けベンチ電源 | 直感的なUI・画面付き | 教育・開発用ベンチトップ機器 |
プログラマブル電源の選び方
以下のポイントを確認して選定しましょう。
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出力電圧・出力電流の範囲
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出力の安定性・分解能
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リモート制御インターフェースの種類
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マルチチャンネル対応の有無
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保護機能の充実度(OCP, OVP等)
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使用環境(ラボ用か組込用か)
特に自動化や再現性を重視する場合、**通信制御の柔軟性(SCPIコマンド対応など)**は重要な選定基準です。
代表的なプログラマブル電源例
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SIGLENT SPD3303X/X-Eシリーズ
3出力・USB/LAN制御・定評のある操作性と信頼性 -
TECHMIZE TH510シリーズ
高速応答・高精度・各種通信制御対応、自動試験にも最適 -
OWON P4305/P4603シリーズ
教育用途にも適した低価格帯モデル、コンパクトで扱いやすい
まとめ
プログラマブル電源は、テストの正確性と効率性を高めるための強力なツールです。
単なる電圧供給装置ではなく、「繰り返し精密に条件制御できる計測インフラ」として、開発・製造現場を支えています。