
メタマテリアル技術は、電磁波の波長よりも小さな人工的な構造(メタ原子)を周期的に配置することで、自然界には存在しない特異な電磁気的特性(負の屈折率など)を実現する技術です。高周波帯の電磁波を自在に制御できるため、様々な分野での応用が期待されています。
メタマテリアルと高周波電磁波
高周波の電磁波は、波長が短いため、従来の技術では制御が難しいという課題があります。例えば、5Gや6G通信で使われる高周波数帯の電波は、障害物に遮られやすく、通信範囲が狭くなる傾向があります。
メタマテリアルは、この課題を解決する有望な技術です。メタマテリアルを構成する微細な構造体を設計することで、電波の伝搬経路を意図的に曲げたり、吸収したり、反射したりすることができます。これにより、電波の「回り込み」を制御したり、特定の周波数帯の電磁ノイズを抑制したりすることが可能になります。
応用分野
メタマテリアル技術の高周波応用は多岐にわたります。
通信分野
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アンテナ: 小型で高効率、高指向性のアンテナが実現できます。特定の方向に電波を強く放射したり、複数の方向へ同時に電波を送ったりするアンテナの開発が進んでいます。
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電波制御: 5G/6G通信で問題となる電波不感地帯を解消するため、メタマテリアル製の反射板や吸収材を用いて、電波の届きにくい場所へ電波を誘導・拡散させることができます。
自動車分野
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自動車レーダー: 高周波の電磁波を用いる自動車レーダーシステムにおいて、メタマテリアルはビームの走査方向を自在に制御するアンテナに応用されています。
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EMC(電磁両立性): 電磁ノイズを効果的に吸収・遮蔽する材料として、車載エレクトロニクスの信頼性向上に貢献します。
その他の分野
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周波数変換: マイクロ波をミリ波に、ミリ波をテラヘルツ波に変換するような、自然界では困難な周波数変換技術も研究されています。これは、次世代通信の光源開発に繋がると期待されています。
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電磁ノイズ抑制: ワイヤレス機器内部の電磁ノイズを抑制するシートなどに利用され、機器の性能向上に役立っています。
T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社、Ceyear社の電子計測器(VNA等)による電磁ノイズ抑制の評価のシステム提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
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