Ceyear 3674 series VNA (2port, 4port)

メタマテリアルにおける誘電率は、人工的に設計された構造によって自在に制御できる、という特徴を持ちます。これは、自然界の物質にはない、新しい電磁気的特性を生み出す上で非常に重要な要素です。


 

メタマテリアルの誘電率

 

 

従来の物質と誘電率

 

一般的な物質の誘電率は、その物質を構成する原子や分子の性質によって決まります。例えば、ガラスや水は特定の誘電率を持っています。また、金属は可視光領域では負の誘電率を示しますが、これはあくまで物質固有の性質です。

 

メタマテリアルでの誘電率

 

メタマテリアルは、電磁波の波長よりもはるかに小さい**「メタ原子」**と呼ばれる微細な構造を周期的に配置することで、全体として特異な誘電率や透磁率を実現します。 この誘電率は、個々のメタ原子の形状、サイズ、配置などの構造設計によって、まるで物質の「レシピ」のように自由に調整可能です。

 

負の誘電率

 

特に注目すべきは、メタマテリアルによって負の誘電率を実現できることです。自然界の物質でも金属は負の誘電率を持つことがありますが、特定の周波数帯に限られます。メタマテリアルでは、人工的な構造によって、通常では負の誘電率を持たない周波数帯でも、この特性を意図的に作り出すことができます。


 

誘電率と応用

 

誘電率は物質の電場に対する応答を示す量であり、光や電波の屈折率を決定する重要なパラメーターです。メタマテリアルで誘電率と透磁率の両方を自在に制御することで、以下のような応用が可能になります。

  • 負の屈折率: 誘電率()と透磁率()が同時に負になると、屈折率()も負になります。これにより、光が通常の物質とは逆向きに屈折する現象が起こります。

  • 透明マント: 負の屈折率を利用して、光の流れを物体から迂回させることで、物体を見えなくする技術です。

  • 高効率アンテナ: 誘電率を最適化することで、小型で高効率なアンテナの開発が可能になります。

  • メタレンズ: 平坦な構造でレンズの機能を実現し、光学機器の小型化に貢献します。

このように、メタマテリアルにおける誘電率は、従来の物質の常識を超えた新しい機能を持つ人工物質を生み出すための、基本的な設計パラメーターとなっています。

 

T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社、Ceyear社の電子計測器(VNA等)による誘電率測定システムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
https://tm-co.co.jp/contact/