リニア電源とは
リニア電源とは、安定した直流電圧(DC)を供給する電源装置の一種で、入力された交流電圧(AC)を変圧・整流・平滑化し、リニア方式のレギュレータを用いて一定の電圧に変換します。
スイッチング電源と比べてノイズが少なく、出力のリップルが小さいことが特徴です。
リニア電源とスイッチング電源の違い
特徴 | リニア電源 | スイッチング電源 |
---|---|---|
ノイズ | 非常に少ない | やや多い |
電力効率 | 低い(発熱あり) | 高効率 |
サイズ・重量 | 大きい・重い | 小型・軽量 |
回路構成 | シンプル | 複雑 |
コスト | 高め | 比較的安価 |
リニア電源は変換効率が低く、発熱を伴うという短所がありますが、高精度測定や音響機器、アナログ回路の動作確認など、ノイズが致命的となる用途では今でも主流です。
リニア電源の用途
リニア電源は以下のようなシーンで広く使用されています。
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電子計測機器:オシロスコープ、スペクトラムアナライザ、マルチメータなどの正確な測定を支える安定電源として
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オーディオ機器:ノイズの影響を受けやすい高音質アンプ・DAC等
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研究開発:アナログ回路やセンサー回路の試験環境に
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医療機器:電磁干渉が許されない精密機器の電源として
リニア電源の選び方
リニア電源を選定する際の主なポイントは以下の通りです。
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出力電圧・出力電流の範囲
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出力安定度(ラインレギュレーション、ロードレギュレーション)
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出力リップルの低さ
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保護機能(過電流保護、過熱保護など)
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リモートセンシングやUSB制御などの付加機能
特に高精度の研究・開発用途では、リニア方式ならではの高安定性・低ノイズ特性が重視されます。