リフレクトアレーアンテナを用いたビームフォーミング技術は、高利得アンテナと電気的なビーム制御を低コストかつ軽量な平面構造で実現する技術です。特にミリ波帯や宇宙通信の分野で注目されています。
📡 リフレクトアレーアンテナの基本原理
リフレクトアレーアンテナは、パラボラアンテナの反射鏡の機能と、フェーズドアレーアンテナの位相制御の機能を組み合わせたような構造を持っています。
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構造:
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平面状の反射板(アレー面): 誘電体基板の片面に多数の**反射素子(パッチアンテナなど)**が周期的に配列されています。裏面には金属板(グラウンド)があります。
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一次放射器(フィード): 平面反射板に対向して配置され、電波を反射板に向けて放射します。
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反射位相の制御:
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リフレクトアレーの各素子は、入射した電波を反射します。
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各素子の形状やサイズを調整することで、反射波の位相を素子ごとに個別に制御できます。この位相制御機能は、反射鏡が電波の経路長によって位相を揃えるのと同様の役割を果たします。
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ビーム形成:
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一次放射器から放射された球面波が各素子で反射される際、各素子の位相を適切に設定することで、開口面全体で反射波の位相を揃え、所望の方向に強力なビームとして放射します。
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パラボラアンテナと異なり平面構造であるため、展開・収納が容易で軽量化に繋がります。
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✨ ビームフォーミングの実現方法
リフレクトアレーアンテナでビームフォーミング(ビーム走査)を実現する主な方法は、アレー素子の反射位相を機械的または電気的に変更することです。
1. ⚙️ 機械的なビーム走査(簡易ビーム走査)
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方法: リフレクトアレー全体または一次放射器を機械的に回転・移動させてビーム方向を制御します。
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特徴:
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構造がシンプルで低コストに高利得を実現できます。
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ビーム走査速度は電気的な方法に比べて遅いですが、広範囲のビーム走査が可能です。
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2. ⚡️ 電気的なビームフォーミング
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方法: 各素子に可変リアクタンス素子(バラクタダイオードなど)を組み込みます。この素子に加える制御電圧を変えることで、素子の反射位相を電気的にリアルタイムで変化させ、ビーム方向を瞬時に制御します。
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特徴:
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**高速なビーム走査(ビームスイッチング)**が可能で、動的な通信に適しています。
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構成が複雑になり、設計や製造の難易度が上がりますが、ビームの方向を柔軟に変えられるため、5G/6Gのような無線通信システムに不可欠な技術です。
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3. 🎯 マルチビーム形成
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方法: 複数の一次放射器を配置したり、特定の設計アルゴリズム(例:複数の方向へ位相を揃える設計)を使用したりすることで、複数の異なる方向に同時にビームを放射できます。
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特徴: 基地局などで複数の端末に同時にサービスを提供するために応用されます。
🚀 特徴と応用分野
メリット
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低コスト・軽量: 平面状のプリント基板で構成できるため、複雑な給電回路が必要なフェーズドアレーアンテナよりも低コストかつ軽量に高利得を実現できます。
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高利得: 開口面全体で効率よく位相を揃えて反射するため、高い指向性(高利得)を得られます。
課題
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狭帯域性: 素子の共振現象を利用して位相制御を行うため、一般に使用できる周波数帯域が狭いという課題があります。(広帯域化の研究が進められています。)
応用分野
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5G/Beyond 5G通信: ミリ波帯での伝搬損失を補償し、カバレッジを拡大するための高利得基地局アンテナ。
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宇宙通信: 軽量で打ち上げ後に展開が容易な衛星搭載用の大型アンテナ。
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車載レーダー: 高解像度かつビーム走査が可能なレーダーシステム。
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