透明材料の中でも、石英ガラスサファイアは、その物理的性質(バンドギャップ、硬度、熱伝導率など)が異なるため、レーザー励起電子加熱による加工の挙動も異なります。

それぞれの材料における特徴と応用について詳しく解説します。


1. 石英ガラス(Fused Silica)への応用

石英ガラスは熱膨張率が極めて低く、化学的に安定しているため、精密なマイクロ加工に適しています。

  • 加工の特徴: * 低閾値のアブレーション: サファイアに比べると加工のしきい値が低く、滑らかな加工面を得やすい性質があります。

    • 屈折率変化の制御: パルスエネルギーを調整することで、材料を完全に除去(穴あけ)するだけでなく、内部の屈折率だけをわずかに変化させることができます。

  • 主な応用例:

    • 光導波路の書き込み: 材料内部にレーザーを通す道(光ファイバーのような構造)を直接描画します。

    • マイクロ流路(Lab-on-a-chip): 医療検査用の極微細な液体通路の作成。

    • 高耐久光学部品: 内部の3次元的な微細構造形成。


2. サファイア(Sapphire)への応用

サファイアはダイヤモンドに次ぐ硬度を持ち、化学耐性も非常に高いですが、その分、従来の機械加工(研削など)が極めて困難な材料です。

  • 加工の特徴:

    • 高密度プラズマの生成: バンドギャップが大きいため、非常に高いピーク強度のレーザーが必要です。電子加熱により瞬時にプラズマ化させることで、硬い結晶構造を無視して「削り取る」ことができます。

    • クラック(ひび割れ)の抑制: 結晶材料であるため、熱が伝わりすぎると劈開(へきかい)して割れやすいですが、超短パルスによる電子加熱であれば、熱影響層を数ナノメートル単位に抑えられるため、割れを防げます。

  • 主な応用例:

    • LED基板の切断(スクライビング): サファイアウエハを個々のチップに高速・精密に切り分ける。

    • スマートウォッチのカバーガラス: 耐傷性に優れたサファイアの精密な外形加工や穴あけ。

    • 耐高温・高圧センサー: 過酷な環境で使用されるデバイスの小型化。


3. 材料による加工特性の比較

特性 石英ガラス サファイア
主な結合 アモルファス(非晶質) 単結晶
加工のしやすさ 比較的容易(滑らか) 困難(高いレーザー強度が必要)
主な損傷形態 クラックは少ないが、デブリが発生しやすい 結晶軸に沿った割れが生じる可能性がある
電子加熱の効果 内部の改質・屈折率操作に有効 強固な結合を「蒸発」させるために必須

4. 進化する加工技術:TGVとLLO

これら特定の材料に対して、現在以下の高度な技術が実用化されつつあります。

  1. TGV (Through Glass Via): 石英やホウケイ酸ガラスに、レーザーで電子加熱による「改質」を行い、その後化学エッチングで瞬時に数千個の穴を開ける技術。

  2. LLO (Laser Lift-Off): サファイア基板上に作ったLED素子などを、レーザー照射で界面の電子を励起・剥離させ、素子だけを別の基板に移す技術(ミニLEDディスプレイなどで重要)。

 

 

 

 

出典:Google Gemini

 

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