「ワット・ビット連携」とは、電力インフラ(ワット:Watt)と情報通信インフラ(ビット:Bit、主にデータセンターとネットワーク)の整備・運用を一体的かつ有機的に連携させることで、脱炭素(GX)とデジタル化(DX)の同時実現を目指す国家戦略レベルのインフラ構想です。
これは、AIの普及によるデータセンター(DC)の電力需要の急増と、再生可能エネルギー(再エネ)の導入拡大という二つの大きな社会変化に対応するための、次世代インフラの進化形として位置づけられています。
構想が目指す次世代インフラの進化
ワット・ビット連携の推進により、従来のインフラが抱える課題を解決し、以下のような次世代インフラへの進化が期待されます。
1. 電力(ワット)とデータセンター(ビット)の最適配置と分散化
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課題: 現在、DCは東京圏・大阪圏に集中しており、電力需要も集中しています。また、地方で発電された再エネは、送電線の制約や需要地の偏りから「出力抑制」(発電した電気を捨ててしまうこと)が発生しています。
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進化:
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再エネ電源の豊富な地域(例:北海道、九州)に大規模DCを分散配置します。
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これにより、DCが再エネを現地で消費する「地産地消」が実現し、送電ロスや都市部での電力需給ひっ迫が緩和されます。
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DCを多極化することで、**災害時のリスク分散(レジリエンス向上)**にもつながります。
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2. データ処理の効率化と低遅延化
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課題: DCが分散すると、従来のネットワークでは都市部との通信で遅延が発生し、AIや高度なサービス利用に支障が出ます。
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進化:
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NTTのIOWN (Innovative Optical and Wireless Network) 構想など、オール光ネットワーク技術を活用し、DC間やDCとユーザー間を低消費電力・超低遅延で接続します(APN: All-Photonics Network)。
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これにより、遠隔地のDCに処理を分散しても、あたかも近くにあるかのように利用できる環境が実現し、電力最適化と高性能通信を両立させます。
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3. エネルギー制御へのAI・通信技術の活用
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課題: 再エネ(太陽光、風力)は発電量が天候に左右され、電力を安定的に供給・制御するのが難しいという性質があります。
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進化:
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通信技術とAIを活用して電力系統の情報をリアルタイムで収集・分析し、電力の需給を自動で最適化するシステムを構築します(スマートグリッドの進化形)。
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DCの処理負荷を電力の供給状況に応じて動的に分散・制御するなど、電力(ワット)側の課題を通信(ビット)側の技術で解決します。
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次世代インフラがもたらす価値
| 観点 | もたらされる進化 |
| 環境(GX) | CO₂排出量の少ない脱炭素電源(再エネ)の有効活用が最大化される。 |
| 経済(DX) | AI活用を支える高性能かつ安定したデジタル基盤が確保され、産業競争力が向上する。 |
| 社会 |
地方へのDC立地による地域経済の振興や、インフラの分散化によるレジリエンス強化が実現する |
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2025年マイクロウェーブ展で展示されます。https://tm-co.co.jp/mwe2025/






