信号発生器(SG)入門:原理・種類・使い方と選び方のポイント

信号発生器(Signal Generator、SG)は、電子機器の設計・評価・試験の現場で不可欠な測定機器の一つです。電子回路やデバイスに入力するための"信号"を作り出し、波形の種類や周波数、出力レベルを自由に制御できることが最大の特徴です。

本記事では、信号発生器の基本原理、主要な種類、使い方の手順、選び方のポイントを初心者にもわかりやすく紹介します。

 

信号発生器とは?

信号発生器は、特定の周波数や波形を持つ電気信号を出力する装置です。主に以下のような波形を発生させることができます:

  • サイン波(正弦波)

  • 方形波(スクエア波)

  • パルス波

  • 三角波/鋸歯状波

  • 任意波形(Arbitrary Waveform)

これらの信号は、回路の動作確認や評価、試験環境の模擬など、幅広い応用が可能です。

 

信号発生器の種類と特徴

種類 特徴
ファンクションジェネレータ 基本的な波形(サイン、方形、三角など)を出力する汎用機器
任意波形発生器(AWG) 複雑な波形も再現可能。ユーザー定義の波形に対応し柔軟性が高い
高周波信号発生器(RF SG) 無線通信やEMC試験に使用。GHz帯域に対応するモデルが多い
パルスジェネレータ 急峻なエッジを持つパルスを生成し、デジタル回路の検証に適する

 

主な用途・使用例

  • アンプやフィルタの周波数特性評価

  • 無線通信機器の受信試験および変調信号入力

  • デジタル回路のタイミング・動作確認

  • センサ信号入力や模擬出力の生成

  • EMC(電磁両立性)試験用の信号源として

 

基本操作の手順

  1. 波形の種類を選択(例:サイン波)

  2. 周波数を設定(例:1 kHz)

  3. 出力レベル(振幅)を設定(例:1 Vpp)

  4. DCオフセットが必要な場合は調整

  5. 出力をONにし、信号を供給

※高度な機種では、AM/FM/PM変調、スイープ、バースト出力なども可能です。

 

機種選定のポイント

1. 周波数レンジ

評価対象の帯域に応じて、十分な上限周波数をカバーしているか確認しましょう。

2. 波形生成の柔軟性

任意波形出力(Arb)や変調波形が必要な場合は、その対応可否を確認しましょう。

3. 出力の安定性と精度

長時間使用では、出力信号の安定性と信頼性が重要になります。

4. 外部制御インターフェース

USB、LAN、GPIBなどのリモート制御対応があれば、自動試験システムとの統合が可能です。

5. 変調機能の有無

AM、FM、PM、IQ変調など、通信機器向けの試験では必要不可欠な機能です。

 

活用のコツと注意点

  • 高周波信号では必ず50Ω終端を使用して反射や誤動作を防ぎましょう。

  • デジタル回路にはパルス波形の立ち上がり時間・ジッタが重要です。

  • 高感度回路への信号入力時は、アッテネータや出力レベル制限の設定を行うことが推奨されます。

 

まとめ:信号発生器は測定現場の心強いパートナー

信号発生器は、電子回路の評価や試験において、必要な波形を自在に作り出すことができる極めて重要なツールです。波形・周波数・制御機能など、目的に応じた仕様を備えたモデルを選ぶことで、より高精度で効率的な開発・測定が可能になります。

T&Mコーポレーションでは、SIGLENTやOWONなどの高性能かつコストパフォーマンスに優れた信号発生器を多数取り扱っております。用途やご予算に合わせた製品提案や評価機の貸出も承っておりますので、ぜひお気軽にご相談ください。