光アイソレーション(Optical Isolation)とは

~光を介して電気的絶縁を実現する安全・信号分離技術~


■ 定義

光アイソレーション(Optical Isolation)とは、信号の伝送において電気的な接続を行わず、光信号を介して一方向または双方向に情報を伝える技術です。
光カプラ(フォトカプラ)や光ファイバーを用いることで、高い絶縁耐圧とノイズ耐性を確保しながら、異なる電位間の安全な信号伝送が可能になります。


■ 構造と動作原理

  1. **入力側(送信側)**で電気信号をLEDで光に変換

  2. 光信号が絶縁された空間または光ファイバーを通過

  3. 受信側でフォトダイオードやフォトトランジスタが光を再び電気信号に変換

これにより、電気的には完全に分離された状態で情報を伝送することが可能です。


■ 主な用途

分野 具体例
✅ 計測機器 高電圧環境下での電流・電圧波形測定(例:光絶縁プローブ)
✅ 産業制御 PLCやモーター制御ユニット間の絶縁信号伝送
✅ 医療機器 患者と機器間の感電防止設計
✅ 電力システム 高圧・低圧系統間の信号分離
✅ 通信機器 グランドループ回避のためのデジタル信号分離

■ 計測器における活用例

機器 光アイソレーションの役割 備考
✅ 光絶縁プローブ(MOIPシリーズ等) 被測定対象からオシロスコープを完全絶縁 高電圧環境でも安全な測定が可能
✅ 電力測定ユニット 高電位シャントの信号を光で転送 差動測定より安全性が高い
✅ USB絶縁アダプタ PCと計測器間のグランド分離 ノイズ混入や通信不良を防止

■ 光アイソレーションのメリット

項目 内容
✅ 電気的絶縁 高圧系と低圧系、異なるグランド間で安全な通信が可能
✅ ノイズ耐性 光信号によりEMI・誘導ノイズの影響を大幅に低減
✅ グランドループ防止 系統間の不要電流の流入を防ぐ
✅ 高絶縁耐圧 数kV〜数十kVまで対応可能なモデルも存在

■ 注意点と設計配慮

課題 対策
🔸 応答速度の限界 高速信号には専用の光伝送モジュールやA/D変換併用設計が必要
🔸 光ファイバーの曲げ半径制限 過度な屈曲で断線・信号劣化の恐れあり(目安:最小8cm)
🔸 電源の分離 受信側と送信側で別電源を準備する設計が基本

■ まとめ

項目 内容
定義 光信号を用いて電気的に絶縁しつつ信号を伝送する技術
使用目的 安全性確保、ノイズ対策、測定精度向上
代表例 光絶縁プローブ、フォトカプラ、絶縁アンプ、光ファイバー通信
適用機器 オシロスコープ、電力解析装置、インバータ監視システムなど
利点 高絶縁、高速伝送、ノイズフリー、安全性向上

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