光電融合技術は、NTTの提唱する次世代通信基盤「IOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想」の中核をなす技術です。
この技術は、現在の情報処理・通信システムにおける電力消費と伝送遅延の課題を根本的に解決するために、光回路(フォトニクス)と電子回路(エレクトロニクス)を一つのシステム、または一つのチップ上で高度に統合することを目指しています。
1. 光電融合の最新動向と目標 🎯
最新の動向は、光電融合の適用範囲をネットワークレベルから、ボード、そしてチップ内部へと段階的に深化させていくことにあります。
A.IOWN構想の推進
光電融合は、IOWN構想の根幹技術である「オールフォトニクス・ネットワーク(APN)」と「デジタルツインコンピューティング」を実現するための鍵です。
B. 適用範囲の拡大
光電融合デバイスは、その適用箇所によって技術的な難易度が異なり、段階的に開発が進められています。
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システム間/ボード間: 現在、光トランシーバーなどに光電融合デバイスが実装されています。
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ボード内/チップ間: 2020年代後半に向け、高速・大容量化を目指し、ボード内の接続やチップ間の接続に光電融合デバイスを適用することを目指しています。
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チップ内: 2030年代には、チップ内(CPUやメモリ内)のデータ転送にも光技術を導入することを目指しており、これが最も高いレベルの統合です。
C. 光チップレット実装技術
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NTTは、半導体パッケージ間、あるいはパッケージ内の光電伝送を担う「光チップレット実装技術」の研究開発を進めています。これは、光集積回路と電子集積回路を効率よくパッケージングする技術で、超小型化と低消費電力化の鍵となります。
2. 実現に向けた技術的課題 ⚙️
光電融合技術の実用化には、いくつかの技術的なブレイクスルーが必要です。
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異種材料の融合:
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電子回路の材料(主にシリコン)と、光回路の材料(InPなどの化合物半導体)を同一チップ上で高密度に集積・融合させる技術。
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特に、シリコンフォトニクスと化合物半導体を融合する技術が重要視されています。
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量産技術の確立:
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光回路部分の量産技術は、電子回路の量産技術に比べてまだ未熟です。光電融合技術を広く普及させるためには、光回路部分の量産技術の向上が不可欠です。
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この技術が実用化されると、データセンター、AI計算基盤、そして自動運転車などの高解像度センサを多用する分野など、高速・低遅延・低消費電力な情報処理が求められる幅広いアプリケーションで大きな変革がもたらされると期待されています。
光電融合の進化と光チップレットに関する解説は、こちらの動画も参考になります: IOWN進展!光電融合進化!光コンピューター!? 光チップレット!!NTT、新光電気工業.
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