
動的位相シフタを備えたアクティブビームフォーミングフェーズドアレイは、アクティブフェーズドアレイの一種で、電子的制御によってビームの方向を調整できる技術です。このシステムは、複数の**送受信モジュール (TRM)**から構成されており、各モジュールが個別に信号の振幅と位相を制御することで、ビームを特定の方向に集中させたり、走査したりします。
この技術は、レーダー、通信、医療画像など、幅広い分野で利用されています。
主要な構成要素と機能
1. アクティブフェーズドアレイ
アクティブフェーズドアレイは、各アンテナ素子に独自の送受信モジュール (TRM)が組み込まれているのが特徴です。TRMには、電力増幅器 (PA) や低ノイズ増幅器 (LNA) が含まれており、これにより信号を増幅しながら位相と振幅の制御を同時に行います。この方式は、外部の電力増幅器を必要とせず、システム全体の効率と信頼性を向上させます。
2. 動的位相シフタ
動的位相シフタは、各アンテナ素子から放射される信号の位相をリアルタイムで調整する電子デバイスです。これにより、個々の信号に意図的な遅延を持たせ、特定の方向に建設的干渉を起こさせてビームを形成します。ビームの方向を変更したいときは、位相シフタの設定を動的に変更するだけで済みます。この柔軟性こそが、メカニカルなビーム走査が不要となる理由です。
3. ビームフォーミング
ビームフォーミングは、複数のアンテナ素子から放射される信号の位相と振幅を制御し、特定の方向にエネルギーを集中させる技術です。アクティブフェーズドアレイでは、TRM内の動的位相シフタがこの役割を担います。例えば、特定の角度に向かって信号を送信したい場合、その角度に応じて各アンテナ素子からの信号位相をわずかにずらすことで、その方向で波が強め合うようにします。結果として、ビームはまるで懐中電灯の光のように細く絞り込まれ、特定のターゲットに効率的にエネルギーを届けたり、特定の方向からの信号を感度良く受信したりできます。
パッシブフェーズドアレイとの違い
パッシブフェーズドアレイは、共通の単一の電力増幅器を使用し、位相シフタは受動部品で構成されます。そのため、信号は増幅される前に位相が調整されます。一方、アクティブフェーズドアレイは、各アンテナ素子に専用の電力増幅器を持つため、信号を増幅した後に位相と振幅の調整が可能です。この違いにより、アクティブフェーズドアレイはより高い効率、優れた信頼性、そしてより精密なビーム制御を実現します。
T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してCeyear社の電子計測器(スペアナ、VSG、VNA)による フェーズドアレイ評価に必要なシステムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
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