SIGLENT (シグレント)SDS7000A シリーズ デジタル・オシロスコープ

広帯域移動無線アクセスシステム(BWA)のドローン等による上空利用は、近年急速に進展している分野です。総務省が中心となって制度整備が進められ、ドローンの活用範囲を広げるための重要な取り組みとなっています。

 

上空利用の背景と課題

 

ドローンは、物流、インフラ点検、災害対応など、様々な分野での活用が期待されています。これらの用途では、ドローンの機体制御や高精細映像の伝送に、安定した広帯域通信が不可欠です。しかし、従来の地上向けの通信システムをそのまま上空で利用すると、以下のような問題が発生する可能性がありました。

  • 電波干渉: 地上向けの通信システムは、上空での利用を想定していません。そのため、ドローンから発せられる電波が、周波数を共用する他の無線システム(公共業務用無線や衛星通信など)に干渉したり、地上の通信に悪影響を及ぼしたりするおそれがあります。

  • 通信の不安定さ: ドローンは高速で移動するため、電波状態が不安定になりやすく、通信が途切れるリスクがあります。特に、全方位アンテナを使用する場合、指向性が低く、電波が不安定になることが課題となります。

 

総務省による制度整備

 

これらの課題に対応するため、総務省は2024年からBWA帯(2.5GHz帯)を含む各帯域について、ドローン等による上空利用の技術的条件や影響評価の検討を進めてきました。この検討の結果、順次、上空利用を可能にするための制度整備が進められています。

 

技術的要件の具体例

 

上空利用を可能にするためには、電波干渉を防ぐための特定の技術的要件が求められます。

  • 自動的な空中線電力制御: ドローン等の移動局が上空に存在することを前提として、基地局からの制御情報に基づき、自動的に空中線電力を制御する機能を持つことが求められます。

  • 技術基準適合証明: 使用する無線設備が、電波法に定める技術基準に適合していることを証明する「技術基準適合証明」を受けた設備でなければなりません。

これらの制度整備により、ローカル5GやBWAを利用したドローン運用の新たな時代が到来し、地域DXの推進が期待されています。


 

上空利用のメリットと活用例

 

BWAの上空利用が解禁されることで、以下のようなメリットや活用例が考えられます。

  • 長距離・広範囲でのドローン運用: 携帯電話網のエリア外でも、BWAのネットワークを活用することで、見通し外通信や遠隔運用が可能になります。これにより、山間部や災害時など、これまでドローンの活用が難しかった場所でも運用できるようになります。

  • インフラ点検の高度化: 橋梁や送電線などのインフラ点検において、ドローンから高精細な映像をリアルタイムで伝送できるようになり、点検作業の効率化と高度化が進みます。

  • 物流・配送の効率化: ドローンによる荷物配送において、安定した通信環境が確保されることで、安全で確実な配送が可能になります。

 

 

 

 

参考:電波監理審議会(第1137回)会議資料 日時 令和6年12月13日(金)

電波監理審議会(第1137回)報告資料
周波数再編アクションプラン(令和6年度版)

 

 

 

T&MコーポレーションではNEXTEM社と協調してSIGLENT社、Ceyear社の電子計測器(スペアナ, VSG, VNA等)による 2.5GHz帯BWAの評価に必要な電子測定器、システムの提案を行っております。お気軽にお問い合わせフォームよりご相談くださいませ。
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