測定端子がアースや他の測定端子とは絶縁されている測定器


電気的絶縁とは

  • 対象
     測定入力端子や出力端子が:

    • 筐体アースと導通しない

    • 電源回路と導通しない

    • 他の測定チャネルと導通しない

  • 効果
     接地電位差に左右されず、短絡事故や接地ループを回避できる


測定端子が絶縁されている測定器の主な種類

測定器カテゴリ 絶縁の内容 備考
1チャネルDMM 測定端子と筐体・電源部が絶縁 電源系から絶縁される設計が基本
バッテリー駆動DMM 測定系全体が浮遊(実質完全絶縁) 現場での安全性が高い
絶縁抵抗計・耐圧計 測定回路全体がガルバニック絶縁 絶縁性能の試験用途
アイソレーションアンプ 入力と出力が完全絶縁 高コモンモード抑制、微小信号測定に有効
電力アナライザ・パワーメータ 各入力系統が独立絶縁 電圧系統・電流系統を独立安全測定
多チャネルデータロガー 各チャネル間が絶縁 各チャネルが独立して浮いており電位差を許容
絶縁型オシロスコープ 各チャネルおよび筐体アースから絶縁 電力設備・インバータ等の高電位差測定に有効
任意波形発生器(絶縁出力型) 出力端子がアースと絶縁 測定対象が浮いていても短絡事故を防止可能

測定端子が絶縁されていない測定器の例

測定器カテゴリ 非絶縁の理由 備考
汎用ベンチトップオシロスコープ 測定入力のBNCシールドが筐体アース直結 接地ミスによる事故リスクあり
汎用任意波形発生器(大多数) 出力GNDが筐体アース直結 一般的には非絶縁出力

絶縁されている測定器に共通する利点

  • 接地の影響を受けず、任意の電位で安全に測定・出力可能

  • 接地系統を意識せずに浮いた回路への接続が可能

  • 高電位差を安全に測定・印加可能

  • 接地ループによるノイズ混入を回避


最後に: SIGLENT SHS1000X の簡単な紹介

  • 完全絶縁型のオシロスコープ

  • 測定端子は他チャネル・筐体アース・電源回路すべてから絶縁

  • 各チャネルが独立してフローティング測定可能

  • 高電圧系統(CAT III 600V / CAT II 1000V)対応

  • バッテリー駆動で現場保守や安全測定に非常に適している

高電位差の安全な現場測定が必要な場合に非常に有効な機種