測定精度仕様(Accuracy Specification)とは

~測定値が真の値とどれだけ一致しているかを示す仕様~


■ 定義

測定精度仕様(Accuracy Specification)とは、計測器で得られる測定値が「真の値」からどれだけズレる可能性があるかを、定量的に定めた仕様値です。
このズレには、測定器の構造的・電子的な誤差要因が含まれており、メーカーごとに**公差(±〇%)や絶対値(±〇mVなど)**として定義されます。


■ 精度とその他の用語の違い

項目 定義 主な意味
精度(Accuracy) 真の値との一致度 「どれだけ合っているか」
分解能(Resolution) 表示の最小単位 「どれだけ細かく見えるか」
確度(Trueness) 系統的誤差の小ささ 国際基準との一致度
再現性(Repeatability) 同一条件での繰返し測定の一致度 「バラつきのなさ」

■ 精度仕様の構成例(一般的な表記)

多くの測定器では、以下のような形式で記載されます:

 
±(基本誤差% × 測定値 + フルスケールの誤差 + ゼロ点オフセット)

例:デジタルマルチメータでDC電圧測定

matlab
精度 = ±(0.05% × 読み値 + 2 digits)

■ 精度に影響を与える要因

要因 説明
✅ 校正の有無 校正未実施の機器では経年変化によるズレが発生
✅ 温度変動 測定温度範囲外では誤差が拡大する
✅ 内部回路精度 リファレンス電圧、ADCの精度などに依存
✅ 入力インピーダンス・負荷 測定対象とのマッチング不良で誤差が増加

■ 測定精度仕様の例(各機器)

測定器 精度仕様例 備考
✅ DMM(6½桁) ±(0.0035% + 2 digits) 高確度校正が前提
✅ LCRメーター ±0.1%(基本精度) 周波数・電圧依存あり
✅ CVアナライザ ±1% typ.(C測定) ドーピング濃度に波及
✅ 電源装置 ±(0.05% + 10mV) 出力設定値の精度

■ 測定精度と信頼性

測定精度仕様は、機器の「信頼性」を数値化した指標とも言えます。
精度の高い測定器を使うことで、以下のような効果が得られます:

  • 研究開発におけるパラメータ比較の信頼性向上

  • 不具合検出の閾値をシビアに設定可能

  • 顧客・規格要求への準拠保証(例:±1%以内など)


■ まとめ

項目 内容
定義 測定値と真値との最大許容誤差を示す仕様
表記形式 ±(% of reading + 固定誤差)など
関係する概念 分解能、再現性、トレーサビリティ、温度係数など
主な用途 校正証明、製品判定、公的認証などで使用
注意点 精度仕様は「測定環境条件(温度、湿度)」を前提とすることが多い

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