
近傍送受信デバイスアンテナカプラとは
近傍送受信デバイスアンテナカプラ(near-field communication device antenna coupler)は、無線通信デバイスの電波特性を測定するための機器です。従来の電波暗室や大型のアンテナ測定装置と異なり、アンテナにごく近い距離(数ミリメートルから数センチメートル)で電波を送受信する仕組みを持ちます。この「近傍界」での測定により、外部からの電波干渉を受けにくく、高い再現性と精度の測定が可能になります。これにより、測定環境が大幅に小型化され、無線通信デバイスの量産時の検査や研究開発が効率化されます。
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小型化・コスト削減: 大規模な電波暗室が不要になり、卓上サイズでの測定が可能になります。
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高い再現性: 被測定デバイスとアンテナが非常に近いため、外部環境の影響を受けにくく、安定した測定ができます。
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広帯域対応: 広い周波数帯域に対応する製品が多く、5Gなどの最新の通信規格の評価にも適しています。
偏波MIMOに対応
偏波MIMO(polarization MIMO)とは、水平偏波と垂直偏波といった互いに直交する複数の偏波を利用して、同時に複数の信号を送信し、通信速度を向上させる技術です。
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MIMO(Multiple-Input Multiple-Output): 複数の送受信アンテナを用いて複数の通信経路を確立し、データ伝送効率を高める技術。
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偏波(Polarization): 電波の電界が振動する方向。水平・垂直・円偏波などがあります。
近傍送受信デバイスアンテナカプラが「偏波MIMOに対応」している場合、水平偏波と垂直偏波の両方を同時に送受信できる複数のアンテナを内蔵しています。これにより、偏波MIMO技術が採用されている通信デバイスの性能評価を、近傍界測定という効率的な手法で行うことが可能になります。
これにより、5Gなどの高速大容量通信で重要となる偏波MIMOの性能を、簡易的かつ高精度に試験できるようになります。
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