部分放電検出(Partial Discharge Detection)とは

~絶縁劣化の初期兆候を非破壊で捉える信頼性試験~


■ 定義

部分放電(Partial Discharge, PD)検出とは、絶縁体内部や表面で発生するごく小さな放電現象を捉え、絶縁劣化の兆候を検出・評価する非破壊試験です。
高電圧が印加された際に、絶縁層の微細な欠陥や空隙(ボイド)などで部分的な放電が発生することがあり、これは将来的な絶縁破壊や製品故障につながるリスクを示唆します。


■ 特徴

項目 内容
✅ 非破壊での劣化診断 通電中・正常動作中に観測可能な初期劣化兆候
✅ 高感度測定が可能 数pC(ピコクーロン)レベルの微小な放電も検出
✅ 絶縁品質の信頼性評価に必須 特にEVモーターや高電圧絶縁部品に有効

■ 放電の発生要因

要因 説明
空隙(ボイド) 樹脂中や巻線間に発生した微小な空気層
表面の汚れ・湿気 表面放電を誘発しやすい状況
エッジ構造・鋭角電極 電界集中による部分放電
絶縁材料の経年劣化 材料の誘電率変化やクラック発生

■ 測定方式の例

測定方式 特徴
パルス電流法 放電に伴う高速パルスを電流変化として検出
アコースティック法 放電時の微細な音波を超音波センサで捕捉
電磁波法(UHF) 放電に伴う高周波ノイズをアンテナで受信
光学センサ法 放電の微弱な発光(コロナ)を検知

■ 測定パラメータの一例

パラメータ 説明
放電開始電圧(PDIV) 最初に部分放電が発生する電圧レベル
放電終止電圧(PDEV) 放電が収束する電圧
最大PD量(q) 単一イベントあたりの電荷量(pC)
放電頻度(N) 単位時間あたりのPDイベント数

■ 主な用途・適用分野

分野 機器・対象
✅ 電力変圧器・リアクトル 油中絶縁の信頼性検査
✅ EVモーター・インバータ 巻線・樹脂モールドの絶縁評価
✅ 電線・ケーブル 絶縁体の空隙・不均一評価
✅ セラミック部品 高電圧用コンデンサ・バリスタの信頼性試験

■ T&Mの提供内容

製品 特長
部分放電検出システム 高速ADC・波形ロガー・AIによるイベント分類機能搭載
電源一体型試験装置 高電圧印加+PD検出のワンパッケージ提供
PD校正器 放電量の基準信号を出力し、試験器の精度を校正

■ まとめ

項目 内容
定義 絶縁部の初期劣化兆候を示す微小放電を捉える試験手法
主な検出法 パルス電流、アコースティック、電磁波、光学など
用途 電源機器、EV部品、高電圧デバイスなどの絶縁信頼性評価
T&Mの対応 自社測定システム・カスタマイズ可能なPD試験ソリューションを展開中