電源の使い方

**電源(Power Supply)**は、電子回路や機器に対して、必要な電圧と電流を供給する計測機器です。測定や評価で使用する際には、正しい設定と安全な取り扱いが重要です。ここでは、**直流安定化電源(DC電源)**の基本的な使い方をわかりやすく説明します。


1. 電源を接続する前に確認すること

  • 回路の必要電圧・電流を事前に確認する

  • 極性(+/−)を間違えないようにする

  • ✅ 電源の出力端子がショートしていないかチェックする

  • 出力スイッチがOFFになっていることを確認してから配線する


2. 基本操作の流れ

機器の電源を入れる
 電源装置本体のスイッチをONにします(多くは出力OFFの状態で起動されます)。

出力電圧と電流の設定
 パネルのツマミや数値入力で、使用する電圧・電流値を設定します。

  • CVモード(定電圧):電圧を一定に保ち、負荷に応じて電流が変化

  • CCモード(定電流):電流を一定に保ち、電圧が自動調整される(過電流保護などにも応用)

回路に接続する
 赤(+)と黒(−)のリードを使って、接続先の回路や機器に接続します。
 ※ショートしないよう、確実に接続しましょう。

出力をONにする
 [OUTPUT]ボタンなどを押して出力を開始します。
 出力中は、設定値に応じて「電圧」または「電流」が優先される状態(CVまたはCC)が表示されます。

測定・観察を行う
 必要に応じて、オシロスコープやマルチメーターを併用して、出力状態を確認しましょう。


3. 使用後の手順

  1. 出力をOFFにする

  2. 接続ケーブルを外す(安全な順番で)

  3. 設定値をリセット(次回誤使用防止のため)

  4. 本体電源をOFFにする


4. よくある誤操作・注意点

誤操作 回避方法
設定電圧の過大 → 回路破損 使用回路の定格を事前に確認し、**保護回路(OVP/OCP)**を設定する
接続時のショート ケーブルの被覆や接続先の端子を事前に点検
極性逆接続 プラグや接続ケーブルの色分けに注意し、必ず再確認する
負荷なしのCCモード出力 抵抗などの負荷をつないだ状態で出力ONにするのが基本

5. 応用的な使い方(上級者向け)

  • シーケンス出力(時間ごとの電圧変化)

  • リモートセンシング:長いケーブルによる電圧降下を補正する機能

  • **外部制御(USB、LAN、RS-232)**によるPC連携試験

  • 負荷試験模擬バッテリー動作への活用


まとめ

電源装置は、電子回路の評価や製品試験において不可欠なツールです。
正しい設定・安全な接続・用途に合った使い方を心がけることで、より効率的かつ信頼性の高い測定が可能になります。初めての方は、まず基本操作と注意点を確実に押さえておくことが重要です。