静電容量測定精度(Capacitance Accuracy)とは

~測定器が表示する静電容量値の真値に対する誤差範囲~


■ 定義

**静電容量測定精度(Capacitance Accuracy)**とは、LCRメーターやC–V測定器などによって測定された静電容量(C)の値が、実際の値(真値)とどれほど一致しているかを示す性能指標です。
この精度は、測定機器の基本仕様、測定条件(周波数、電圧、温度など)、および測定対象の特性により影響を受けます。


■ 構成要素

測定精度は一般的に以下の要素で構成されます:

Accuracy=±(A% of Reading+B% of Range)\text{Accuracy} = \pm (A \% \text{ of Reading} + B \% \text{ of Range})

項目 意味
Reading 実際に表示された測定値(読み値)
Range 測定器が使用している測定レンジのフルスケール値
A/B メーカーが指定する仕様値(例:±0.1% of Reading + ±0.05% of Range)

■ 測定精度に影響する要因

要因 内容
✅ 周波数 使用周波数によって測定感度や誤差が異なる(例:1kHz vs 1MHz)
✅ ACテスト信号レベル 小信号すぎるとノイズ影響が増加、過大だと非線形誤差発生
✅ 測定回路構成 2端子、4端子、5端子測定方式による影響(寄生容量除去)
✅ プロービング精度 接触ばらつきや導体の寄生成分による影響
✅ 温度・湿度 キャリブレーション条件と異なると誤差が増加する可能性
✅ 校正状態 定期校正により仕様通りの精度が保証される

■ 精度仕様例(参考:LCRメーターの場合)

条件 精度(代表例)
1kHz, 1Vrms, 1nF測定 ±(0.1% of Reading + 0.05% of Range)
100kHz, 10pF測定 ±(0.2% of Reading + 0.1% of Range)
高精度CVUモデル ±0.05% typ(周波数・温度一定時)

■ 測定精度を保つためのポイント

対策 内容
✅ オープン・ショート・ロード補正(OSL補正) ケーブル長や端子条件に応じた補正で誤差最小化
✅ 適切な測定レンジの選択 測定値に近いレンジで読み値の影響を最小化
✅ 定期的な校正 機器メーカー指定の校正周期を順守(通常1年)
✅ 安定した測定環境 温度・湿度・振動などの外乱を抑制

■ T&Mコーポレーションの対応機種例

製品名 特長
TECHMIZE TH512 静電容量分解能 0.1fF、±0.05%高精度仕様、C–V測定対応
SIGLENT IM3523 10Hz〜500kHz対応LCR、静電容量精度 ±0.1%typ、4端子測定可
高周波LCRシステム 1MHz以上の精密測定対応(専用プロービングあり)

■ まとめ

項目 内容
定義 測定器が表示する静電容量値が真値とどれだけ一致するかの誤差範囲
構成要素 読み値誤差+レンジ誤差の合算によって定義
影響要因 周波数、測定信号、端子方式、温度、校正状態など
改善策 OSL補正、適切レンジ選択、定期校正、環境安定化
T&M製品対応 高分解能・高精度測定対応モデルを複数取り扱い

T&Mコーポレーションでは、静電容量の高精度測定ニーズに対応した評価機器・アクセサリ・校正支援を提供しています。
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