100Gbpsを超えるような超高速・高周波(100GHz〜300GHz)通信を実現するためには、従来のシリコン(CMOS)だけでは「出力」と「速度」の限界に突き当たります。

そこで現在、原田研究室を含む世界中の研究機関では、**異なる特性を持つ複数の半導体素材を組み合わせる「ヘテロ統合(異種材料統合)」**が本命視されています。期待されている主な素材とその役割は以下の通りです。


1. 期待される3つの主要素材と役割分担

100Gbps級の無線機では、一つの素材ですべてを賄うのではなく、適材適所で使い分ける戦略が取られます。

素材 得意分野・役割 特徴と期待される理由
InP (リン化インジウム) 超高速信号の処理 電子の移動速度が極めて速く、300GHz帯でも動作可能。100Gbps超の変復調や増幅の核となる素材。
GaN (窒化ガリウム) 高出力な電波の送信 高電圧に耐え、強力な電波を発射できる。サブテラヘルツ帯での通信距離を伸ばすためのパワーアンプに必須。
Si-CMOS / SiGe 複雑な計算・制御 集積度が高く安価。大規模なアンテナ制御(ビームフォーミング)や**デジタル信号処理(DSP)**を担当。

2. なぜこれらの素材が必要なのか?(技術的背景)

① InP(リン化インジウム):6Gの心臓部

100GHzを超える周波数で100Gbpsを流すには、トランジスタが「超高速でスイッチング」できなければなりません。

  • fmax(最大動作周波数): CMOSが400GHz程度で頭打ちになるのに対し、InPは1THz(1000GHz)を超えるポテンシャルを持ちます。2024〜2025年の最新研究では、InPを用いたICで300GHz帯・100Gbps超の伝送成功例が相次いで報告されています。

② GaN(窒化ガリウム):距離の壁を突破する

高周波は減衰が激しいため、送信パワーを上げる必要がありますが、シリコンは熱や電圧に弱く、強く増幅しようとすると壊れてしまいます。

  • 高電力密度: GaNはシリコンの数倍〜数十倍の電力密度を扱えます。これにより、100GHz帯でも数km先まで届くような基地局の実現が期待されています。

③ CMOS:頭脳としての役割

InPやGaNは高速・高出力ですが、複雑な計算(AIによる予測や大量のアンテナ制御)には向きません。

  • ヘテロ接合の重要性: 最新のトレンドは、「InPやGaNのチップレット(小さな断片)」をシリコン基板上に実装する技術です。これにより、計算能力(CMOS)と物理的性能(InP/GaN)を両立させた、安価で高性能な6Gチップが実現しようとしています。


3. 日本の最新動向(2024-2026年)

2024年4月には、NTT、ドコモ、富士通、NECの4社が、100GHz/300GHz帯において100Gbpsの無線伝送を可能にするデバイスの開発を発表しました。

  • このデバイスには、富士通が開発した高出力GaN技術や、NTTが強みを持つ超高速InP技術が惜しみなく投入されています。

  • 原田研究室は、こうした最先端デバイスが実際に「実環境(都市やオフィス)」で性能を発揮するための、物理層制御アルゴリズムやデジタルツインを用いた最適化を担っています。


 

 

 

出典:Google Gemini

 

 

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